全日本スーパーフォーミュラ選手権は7月17日、静岡県の富士スピードウェイで第6戦の決勝が行われた。波乱続きのレース展開のなか、中盤に大逆転を果たした笹原右京(TEAM MUGEN)が、待望の初優勝を遂げた。
全ドライバーが一堂に会して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、アクシデントに満ちた決勝を戦い終えたドライバーたちの声をお届けする。
■宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S) 決勝4位
予選で赤旗原因車両となり、最後尾からのスタートとなった宮田。スタートは「フォーメーションラップがすごく遅く、ニュートラルにしてまた1速に入れて繋げての繰り返しになってクラッチの温度がすごく上がってしまいました」と、序盤は厳しい戦いを強いられたと振り返る。
「クリーンエアになったらプッシュしようという作戦だったので、前がいるときはタイヤを温存して、クリーンエアのときにプッシュして、運良くセーフティカーが入って4位に上がれました。と言っても、今回は最後尾からのスタートだったのでストレートでスピードを稼がないと抜けないことはわかっていたので、結構エアロを削って(ダウンフォース量を減らすセッティングで)いたのですけど、かなりきつかったですね」
しかし、終盤までピットタイミングを遅らせたことが、宮田の追い風となった。
「もともと残り15周から10周くらいでピットに入ろうと狙っていたので。前戦のSUGOではないですけど、後半にピット入った組の方がチャンスが大きいことはわかっていました。運良くセーフティカーが入ったので、『もうピット入る』と言って全開で(インラップを)走りましたね」
「(第2セーフティカーラインで順位が決まることは)わかっていました。笹原右京(TEAM MUGEN)選手は単独走行だったので、どこにいるのかはわかりませんでしたけど、必死に第2セーフティカーラインを越えるまで全開で行きました。ちょうど牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)選手の前か後かの(際どい)ところにいたので、そこも判断が難しかったですね。牧野選手も前に出たかったのでブレーキで少し僕の前に行きましたけど、ライン的には僕が前だったので、牧野選手の前に出ることができたという感じです」
終盤はフレッシュタイヤで3番手の野尻を追い立てる走りを見せた宮田。しかし、ストレート重視のセッティングがここで裏目に出てしまい、オーバーテイクには至らなかった。
「もうTGRコーナー(1コーナー)しか抜けないという判断だったのですけど、もともと僕はストレートを伸ばすためにエアロを削っていたので。もうメカニカルグリップというか、セクター2、3が結構厳しかったですね。タイヤが良くてもぜんぜん駄目でした。当然、野尻選手は僕よりもっと前にピットに入ってたので(タイヤ的にも)チャンスはあったとは思うのですけど。もともと攻めたセットアップだったので、結構きつかったですね。あとはオーバーテイクシステム(OTS)を使った際のエンジン特性の違いだったり、ストレートスピードの差もあったので、簡単ではなかったです」
■山下健太(KONDO RACING) 決勝7位
予選では15番手にとどまり、後方からのスタートとなった山下。今季も依然として不運が続いていたが、7位でチェッカーを受け、今季3度目、決勝では今季2度目となるポイント獲得を果たした。
「スタートはあまり良くなかったのですけど、混乱をなんとか切り抜けて少しポジションも上がりましたね。その後のペースは結構良くて、(1回目の)SC明けにピットに入るか悩んだのですけど、結果的にミニマム(10周)+1周で入りました。ミニマムでピットに入るクルマが多かったので、混雑を避けてですね」
「タイヤ交換後も結構ペースは良くて、何台か抜いて、前に追いついてたのですけど、2度目のSCが入ってしまい。それで3ポジションくらい結果的に落とした感じですね。それはもったいないなと思います」
SC導入のタイミングもあり、笹原、宮田、佐藤に先行されるかたちとなったことを悔しがる山下だったが、長く続いた不調からの復調の兆しが見えたレースだったと語る。
「この前の富士の第2戦が自分としては一番いい感触で、それになにをプラスしたらこのクルマが良くなるかというところをずっとやってきました。今までのレースはまともに走れていないので、ぜんぜんわからなかったのですけど、狙ったところをうまく狙えたクルマになってきたかなと感じはあるので、本当によかったです」
■ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S) リタイア
6番手走行中の21周目にピットに入ったアレジは、タイヤ交換完了後、再スタートを切ることができず。そのままレースを終えることとなった。
「セカンドギアにスタックしちゃった。もしかしたら、タイヤ交換中にセカンドギヤに入っていたのかもしれない。でも気がつかなった。残念だと思います」
「まだなにが原因かは詳しく調べてないから、(原因はこれから)調べます。ポイントはぜんぜん取れたと思うし、本当に残念です。(シーズンも後半だけど)最後まで頑張るしかないですね」
■松下信治(B-Max Racing Team) DNS
フォーメーションラップで単独スピンを喫した松下は「自分のミスでスピンしてしまいました」と肩を落とす。
「フォーメーションラップのペースが遅くて、その分、できる限り(タイヤを)温めようと頑張っていた結果、ミスってしまいました。完全に自分の初歩的なミスなので……大いに反省です」
エクストラフォーメーションラップ中に、オフィシャルカーに牽引されてピットに戻った松下は、エンジン再スタートが叶うとピットロード出口にマシンを進めた。だが、レースが始まるとすぐにピットに呼び戻される。正式結果はD.N.S(スタートせず)となった。
「さまざまなルールがあって、マーシャルに救出されちゃうと、(その後コースインの)権利が認められないらしくて、それで終わりになりました」と松下は説明する。
また、次戦に向けては「次のもてぎは2連戦なので、ポンポンと良い結果を残して、復活したいですね」と語った。