「恐怖の一夜」体験語る 諫早大水害65年を前に集会

体験者が65年前の諫早大水害の状況を語った集会=諫早市、諫早市民センター

 長崎県諫早市中心部を流れる本明川などが氾濫し、630人の死者・行方不明者を出した1957年7月25日の諫早大水害から65年になるのを前に、犠牲者を追悼し、命の尊さ、防災について考える集会「諫早大水害を語り継ぐ」が16日、諫早市民センター(東小路町)であった。市民グループ「本明川を語る会」(川浪良次会長)が主催し、約100人が参加。体験者の西島重則さん(79)が65年前の状況を生々しく語った。
 西島さんは夕方、父親の勤務先の社長宅(八坂町)に家族で避難。その2階建ての家にも水が押し寄せ、あっと言う間に1階の天井まで水没したこと、家が水圧で揺れたことなどを振り返り、「この濁流に巻き込まれたら助からないと思った」「65年前のことだが、水が来て死ぬ目に遭って水が引くまでは鮮明に覚えている」と恐怖の一夜を語った。川浪会長は「(集会が)防災啓発の一助となり、市民の避難行動につながることを願う」と話した。
 集会では同会メンバーでもある鎮西学院大の学生が体験者の手記を朗読。地元コーラスグループが犠牲者を追悼する歌「本明川に捧ぐ」を合唱したほか、諫早出身の漫画家、山本おさむさんが諫早大水害をテーマに描いた「ランドセル」を上映。市危機管理課による講話「災害への備え」もあった。


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