トヨタ、エストニアで1-2フィニッシュ達成「カッレに毎回驚かされる」とラトバラ/WRC第7戦

 7月17日、WRC世界ラリー選手権第7戦『ラリー・エストニア』の競技最終日となるデイ4が、エストニアのタルトゥを中心に行われ、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が2022シーズン5度目の総合優勝を達成した。また、チームメイトのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が総合2位に入ったため、TOYOTA GAZOO Racing WRTはワン・ツー・フィニッシュを達成している。

 3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1を駆るエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組は総合6位でフィニッシュ。TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合5位入賞を果たした。

 SS19~24が行われた第7戦エストニアのデイ4は、タルトゥのサービスパークを起点に、南側エリアに設定された3本のステージを各2回走行するかたちで争われた。各ステージの1回目の走行時、路面は一部を除きおおむねドライコンディションだったが、再走ステージの1本目から雨が降り始め、最終ステージにかけて雨脚が強まって多くの路面がウエットコンディションとなった。

 前日のデイ3で、総合2番手につけるエバンスに対するリードを29.1秒に拡げた首位ロバンペラは、デイ4オープニングのSS19で今大会11回目のステージ優勝を果たした。続くSS20ではベストタイムをライバルと分け合ったロバンペラは、SS21でもふたたびベストタイムをマークし、この段階でエバンスとのタイム差を40.8秒にまで拡げてみせる。

 雨が落ち始めたSS22と、ウエット路面での戦いとなったSS23に関しては、総合7番手につけるラッピが連続でベストタイムを記録。ここでは出走順が後方となる、総合順位が上位の選手たちは不利な路面コンディションでの走行となった。とくにSS23での雨の影響は大きく、ベストタイムを記録したラッピに対し、エバンスは37.1秒、ロバンペラは38.7秒の遅れをとることとなった。

 そうした天候のなかで迎えた最終SS24、ボーナスポイントがかかるパワーステージでは雨が一段と強まり、路面はフルウエットに。ローパワーかつ軽量なラリー2車両が記録したタイムを、最高峰クラスのラリー1カーはなかなか破ることができない状況が続く。しかし、最終盤の出走となるエバンスとロバンペラのスタート時には陽が差し始め、コンディションがやや好転した。

 エバンスは渾身の走りでその時点でのベストタイムを記録してみせる。しかし、最後に出走したロバンペラは、チームメイトを22.468秒も上回るベストタイムを刻み、今季4度目のパワーステージウインを達成。ボーナスポイントの5ポイントを手にしつつ、シーズン5回目となる総合優勝を飾った。

優勝したカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)と、2位エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第7戦ラリー・エストニア

■ラトバラ代表「最高のドライバーたちと、最高のチームと一緒に戦えていることに感謝している」

 21歳のフィンランド人は、フルポイント獲得によりドライバー選手権首位の座を守り、ランキング2位のティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)に対するリードを83ポイントに拡大した。エバンスは今季3回目の総合2位とパワーステージで得たポイントにより、ドライバーズランキング6位から3位に浮上している。

 また、チームはロバンペラとエバンスが獲得したフルポイントによってマニュファクチャラー選手権の首位を守り、2位のヒョンデ・シェル・モビスWRTに対するリードを87ポイントに拡げることに成功している。

 デイ4で2本のベストタイムを記録するなど、最後まで攻めの走りを続けたラッピは、最終のパワーステージで順位をひとつ上げ、総合6位で今戦を締めくくった。また、パワーステージで5番手タイムを記録した勝田は、総合5位でラリーを走り切り、開幕戦からの連続ポイント獲得記録を「7」に伸ばしている。

「我々は、カッレがやってのけることに毎回驚かされる」とキャリア7勝目を挙げた“フライング・フィン”を称えた、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ。

「とくに今回のパワーステージは非常に困難なコンディションだったが、コンディションが難しくなればなるほど、カッレは強さを増していくように思えた」

「しかし、この素晴らしい結果を獲得できた背景には、チーム全員の努力があったことを忘れるべきではない。多くのステージでベストタイムを刻んだという事実はトヨタGRヤリス・ラリー1の速さを証明するものだが、それだけでなく、信頼性も高かったからこそ4台全車がトップ6に入ることができたのだ」

「エルフィンは安定して速く、なおかつ非常に堅実な走りをしたし、エサペッカと貴元も最後まで良い走りを見せてくれた。ラリー界最高のドライバーたちと、最高のチームと一緒に戦えていることに感謝している」

 ドライバー、コドライバー、マニュファクチャラーの3選手権すべてでトップに立っているTOYOTA GAZOO Racing WRTが臨むWRCの次戦第8戦は、8月4日から7日にかけて、フィンランドのユバスキュラを中心に開催される『ラリー・フィンランド』だ。チームの拠点が同地にあるトヨタチームにとって“ホームイベント”であるこのラリーは、WRCを代表するハイスピード・グラベル(未舗装路)イベントとして知られ、2017年以降の4大会はすべてトヨタ車が優勝している。

勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第7戦ラリー・エストニア
エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第7戦ラリー・エストニア

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