海水浴場から「海の家」がなくなった? コロナ禍で海辺の街が始めた“秘策”とは=静岡・牧之原市

7月18日は海の日です。静岡県内有数のレジャースポット・「さがらサンビーチ」(同県牧之原市)も賑わっていましたが、今年は「海の家」の出店がありません。夏の風物詩はなぜ姿を消したのか?海の家の代わりに用意された場所とは?

「さがらサンビーチ」の隣にある静波海水浴場です。ようやく晴れた3連休最終日、多くの海水浴客で賑わっていました。

<海水浴客>

「静岡市から」

「子どもが生まれて初めての海水浴なので楽しんでます」

<島田市から来た人>

「最高です」

「日焼けをしに来たのと海が好きなので」

規模の大きな海水浴場に欠かせないのが海の家。静波海水浴場では、4軒の海の家が営業していて、海の日の18日も多くの人が食事や休憩のために利用していました。

<海の家の利用客>

「涼しくて過ごしやすいので最近はずっと海の家を使っています。そっちの方が楽だし、楽しい」

その一方で・・・

<影島亜美アナウンサー>

「牧之原市のさがらサンビーチです。静波海水浴場と同じ日にオープンしましたが、こちらには今年、海の家がありません」

例年、少なくとも2軒は海の家が並ぶ「さがらサンビーチ」ですが、今年の浜辺にその姿は見当たりません。

「さがらサンビーチ」で35年以上、海の家を出店してきた西谷俊彦さんです。海沿いでペンションを営む西谷さんが出店する「海の家むぎわらぼうし」は、広々とした空間で休憩できると海水浴客に人気でした。

<西谷俊彦さん>

「2021年夏に、まん防が適用されて1か月商売できたかどうか。建てて、撤去するまででどうしても数百万円かかってしまう。大変痛い思いをした」

2021年、牧之原市の2つの海水浴場は、まん延防止等重点措置の適用を受けたことでシーズン途中で閉鎖。例年だと、およそ30万人が訪れる牧之原市の海水浴場ですが、2021年はおよそ8万5000人に留まり、過去最低となりました。

西谷さんは本業のペンションに支障がでないよう、今年はやむなく海の家を出店しないことを決めました。

<影島亜美アナウンサー>

「海の家がない『さがらサンビーチ』には、出店やキッチンカーがずらっと並んでいます」

静岡県牧之原市では、海の家がないビーチでも海水浴客に夏らしい食事を楽しんでもらおうと、市内の事業者などにキッチンカーなどでの出店を募集。8月31日までの海開き期間中、土日祝日に1日最大10店舗が出店します。

<かき氷を販売する森木農園 森木和也さん>

「地元のいい場所で出店できるのはありがたい。少しでもこの場所が盛り上がればいい」

海の家の代わりのキッチンカー、18日はイチゴで知られる「森木農園」はかき氷を、みかんが得意な「いたくら農園」のオレンジジュース、個人やインド料理店の出店もありました。期間中、合計12店舗が出店予定です。

このキッチンカーと海の家の違いをみてみますと、海の家が建設・解体費用など数百万円かかるのに対して、キッチンカーなどを持っていれば、牧之原市は出店料などを取らないとのことなので、実質の費用はかかりません。

営業日については、海の家は夏休み期間中などずっと開かれているのが通常ですが、キッチンカーなどの場合は、土日・祝日のみの限られた営業となっています。

海の家がなければ、屋根の下で休める場所が無いといった声もありますので、今年の「さがらサンビーチ」の取り組みが実証実験になっているとも言えそうです。

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