ハンドボール新プロリーグの狙いは…葦原一正氏に聞く JHL代表理事、福井のチームにも期待

福井新聞のインタビューに応じる日本ハンドボールリーグの葦原一正代表理事=東京都新宿区のジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア

 日本ハンドボールリーグ(JHL)の葦原一正代表理事は7月18日までに、東京都内で福井新聞のインタビューに応じ、2024年2月の開幕を目指す新たなプロリーグの狙いや展望を語った。福井県ハンドボール協会の有志が新リーグ加盟を目指し、クラブチームの運営会社を設立したことに関しては「福井の地域に愛され、地域に根付くプロチームができることを期待したい」と述べた。

 ―新リーグ構想の狙いは。

 「現在の日本リーグに加盟している各チームは平均で年間2億円の予算を使っているが、収入はほとんどない。この状況が今後10年、20年続けられるのかという話。親会社の経営悪化による予算カット、社長交代でチームの位置付けが変わるなどのケースをたくさん見てきた。地域やファン視点を重視しながら、稼げる仕組みをつくり、事業としての持続継続性を維持するために構想を練ってきた」

 ―何が変わるのか。

 「最も特徴的な仕組みは、チケット、グッズ、放映権、スポンサー収入などをリーグが一元管理し、各チームに分配する『シングルエンティティ』を採用する。さまざまなデータを一元管理することで、速いスピードで的確な施策が行える。リーグ主導による事業経営で、3年間で売り上げの基盤をつくりたい」

 「現在のリーグ所属選手の大半はアマチュア契約。新リーグの選手契約についてはセカンドキャリアを考慮し、専業プロ、兼業プロ、アマチュアと選択肢を提示する。社会環境や事業規模に合わせたアスリートの働き方改革を推進し、チームの経営安定化に寄与することも期待できる」

 ―福井県内では新リーグ加盟を目指し、クラブチームの運営会社が設立された。現リーグに参戦している北陸電力チームが母体になる。

 「新リーグは持続可能性を高めるため、地域の多くの企業や自治体などが支え合うチームが理想的と考えている。福井県ハンドボール協会をはじめ、地域で盛り上げていこうという動きは非常に良い流れで、他県のチームにも良い刺激になる。福井にプロチームができれば全国トップクラスの(競技力がある)福井の子どもたちの受け皿になる。少年少女のあこがれの場になるリーグをつくるので、地域に愛され、地域に根付くチームをつくってほしい」

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 ◇ハンドボールのプロリーグ構想 日本ハンドボールリーグ(JHL)が2021年12月に発表し、24年2月の開幕を目指して準備を進めている。現在の日本リーグの大半を占める実業団チームの維持を認める一方で、参入条件として(1)11人以上のプロ契約(兼業可)(2)収容1500人以上のホームアリーナの保有(3)チーム名に地域名を入れる―など8項目を求めている。参入チーム数は現時点で未定。加盟申請期限が8月末、審査結果が10月末に発表される。現リーグには男子12チーム、女子11チームが参戦している。

 ◇葦原一正氏(あしはら・かずまさ) 1977年生まれ。東京都出身。早稲田大学大学院修了後、コンサルティング会社に入社。2007年にプロ野球のオリックス・バファローズ、12年に横浜DeNAベイスターズに入社し、いずれも事業戦略立案などを担当。15年に発足したプロバスケットボール男子Bリーグの初代事務局長を務め、21年4月から日本ハンドボールリーグ代表理事に就任。

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