「同じ境遇の介護仲間がいれば」 ケアラー支援団体代表・奥村シンゴさん

 30代から認知症の祖母と脳梗塞の母を介護してきたケアラー支援団体「よしてよせての会」代表で、「おばあちゃんは、ぼくが介護します」の著書がある奥村シンゴさん(42)=兵庫県宝塚市=に、介護殺人の背景や対策などを聞いた。
 生涯未婚率(50歳までに一度も結婚したことがない人の割合)が高まり、男性が、親や祖父母の介護をすることも増えた。介護殺人事件の加害者の約7割は男性というデータもあり、男性介護者には特に周囲が気を配る必要がある。近年、新型コロナ禍で介護施設が利用できないケースも各地で相次いでおり、介護者にとってはストレス過多の状況だ。
 「孫介護」(祖父母を介護している孫)をしてきた自分にとって、島原市の事件は人ごとではない。孫介護は家庭環境が複雑で親介護以上に理解されにくい傾向がある。交流サイト(SNS)上には同じ境遇の人が一定数いるので、同世代の「孫介護仲間」をつくった方がよい。介護者もきちんと休息をとり、テレワークや短時間バイトなどリフレッシュする機会を確保する必要がある。自分にできるケアの限界を知り、施設入所など周囲に頼る判断をすることも大切だ。


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