高校持ち込み「認めるべき」7割超 使用解禁は大半否定的  学校での携帯・スマホ巡りアンケート 「授業中 触っている」との声も

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 長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」は、小中学、高校への携帯電話、スマートフォンの持ち込みや、校内での使用に関するアンケートをLINE(ライン)で実施。登下校時の利用などを想定した持ち込みを認めるべきだとする答えは、高校について7割を超え、中学については可否の回答が拮抗(きっこう)した。一方、校内での使用については高校生でも「認めるべきでない」が過半数を占めるなど、大半が否定的だった。
 アンケートは中高生の子がいる女性の「学校への携帯・スマホの持ち込みを認めてほしい」という投稿を機に実施。持ち込み、使用についてそれぞれ、小中高ごとに「認めるべきだ」などの3択で回答してもらい、理由を尋ねるなどした。6月17~21日に計397件の回答があった。
 ▶持ち込み◀

 持ち込みを認めるべきだとする意見は登下校時のトラブル対策が主な理由。特に中高生については、遠距離通学や部活、塾などで帰宅時間が遅くなりがちなことが背景として浮かび上がった。「(中高生は)ルールを守れる年齢」と判断力や分別に期待する声も多数あった。
 公衆電話の減少により自前の通信手段がないと不便な現状を指摘する意見も複数。高校生については「禁止されていても実際は学校に持って行っている」との指摘が保護者や教職員から寄せられ、ルールも現実を追認すべきだとの意見の根拠になっていた。
 持ち込みに否定的な層は「持ってくれば使いたくなる」などと、ルール違反の使用や携帯・スマホ依存による悪影響を懸念する人が大半。校内での管理の難しさや盗難、いじめといったトラブルを心配する声が多かった。「家庭での指導がかなり必要になり先生方の負担も増える」といった危惧も。メリットとデメリットの間で判断を迷っている趣旨の回答も目立った。
 一方、小学校においては持ち込み可とすべきとの回答が全体の4分の1にとどまっており、必要性が薄いとの判断が大勢だった。

 ▶使用◀

 校内での児童・生徒の使用解禁は、中学生について全体の7割超、小学生については8割超が「認めるべきでない」と答えており、デメリットが大きいとの見方が圧倒的。「試験の不正防止」などと悪用を懸念する意見や、「授業中や休み時間にスマホに触っている」と実態を訴える声などが相次いだ。
 児童生徒に1人1台のデジタル端末を配備する国の「GIGAスクール構想」を背景に、「タブレットPCを配布しているはず」などとして校内使用の必要性を疑問視する人も多かった。使用を容認すべきだとした人は「一定のルール下で認める」「(使い方について)教えるのも学ぶのも教育」といった理由を挙げた。

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 ラインでのアンケートは無作為抽出で民意を反映する世論調査とは異なり、多様な意見を紹介するのが目的です。

 長崎県内は一部除き原則禁止 持ち込み許可 高校で増加傾向

 携帯・スマホの学校への持ち込みや使用の現状はどうなっているのだろう?長崎県教委児童生徒支援課によると、県内では送迎の連絡などを理由に持ち込みを認めている一部の公立高校、特別支援学校をのぞき、持ち込みや校内使用は原則禁止。ただ、高校では個別の事情に応じて持ち込みを許可することは可能としており、近年は許可する学校が増えているという。
 同県教委は2002年に「携帯電話に関する指導について」と題して持ち込みや使用の原則禁止を通知。その後19年に、高校については保護者からの申請によって校内持ち込みを許可したり、各校で取り扱いを検討したりすることは問題ない―と緩和した。一方、小中学校では依然として持ち込み禁止が大勢。校内使用は小中学、高校とも認めている事例は聞かないとしている。
 文部科学省も携帯・スマホに関して方針を示している。持ち込みは小中学校で原則禁止だが、中学では一定の条件で認めることも容認。高校では校内の使用を制限するにとどめている。学校での情報モラル教育充実、「ネット上のいじめ」等に関する取り組み徹底も求めている。方針に強制力はなく、対応は各教委などが決めている。
 アンケートでは、児童生徒や教職員、保護者を対象に身近な校内での現状などを尋ねた。長崎の50代女性(保護者)は「禁止なのに持ってきている生徒が多数。ルールを守っている子からすると理不尽」と不満げ。県北の10代女性(高校生)は「生徒には持ち込みを禁止しているのに、授業中に触れている先生には言われたくない」とチクリ。一方、長崎の60代男性(教職員)は「トラブルがあったときに学校だけのせいにされても管理できない」と本音を漏らした。
 同課の担当者は、県立学校の携帯・スマホ持ち込みについて「事情のある児童生徒については、学校と保護者が十分協議し必要性について対応している」と説明。「利便性や危険性を子どもと保護者が一緒に理解した上で、子どもに携帯電話を使用させてほしい」としている。県教育センターホームページでは情報モラル教育教材「SNSノート・ながさき」を公開し、授業等で活用中。保護者用もある。


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