旧統一教会に小田原市長「心から感謝」 公式HPに記事掲載 自民市議通じ、寄付受ける「適切なものと判断」

世界平和統一家庭連合からの寄付を報告する小田原市の守谷輝彦市長のコラム

 小田原市が今年5月、世界基督教統一神霊協会(統一教会)が改名した「世界平和統一家庭連合」から寄付金を受け取り、守屋輝彦市長が市公式ホームページ(HP)などで「心から感謝申し上げます」と記載していたことが19日、分かった。違法勧誘などによる元信者らの被害救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会は「自治体が旧統一教会の活動に賛同していると市民が捉えかねないゆゆしき問題だ」と非難している。

 市によると、家庭連合の小田原家庭教会が、自民党の市議を通じて寄付を打診し、市長は市長室を訪れた教会関係者からバザーの収益金10万円を受け取った。市は障害児通園施設の備品購入に充てたという。

 記事は市長自らが執筆し市HPのコラムと後援会ブログに同じ内容を掲載。「バザーでは地元野菜のほか、地域の方約120人から提供された品が販売され、2日間で約100名の方が来場されたそうです」と紹介し謝意を表明した。後援会ブログではすでに記事が削除されている。

 守屋市長は神奈川新聞社の取材に、「宗教法人としての認証団体であることも踏まえ(寄付を)適切なものとして判断した。市長の活動を紹介するエピソードとしてHPに掲載した」と文書で回答した。

 仲介した市議は「自分は信者ではないが教会幹部から相談を受けた。教会の勉強会に出席し付き合いがあった」と説明。市秘書室の樋口肇室長は「クリーンではない団体と知っていたが、断る理由にはならなかった。今となっては被害者感情も考えて記事を掲載し続けるべきではないと個人的には考えている」とした。

 同連絡会によると、旧統一教会は教団名を変更した2015年以降も献金強要などのトラブルが相次ぎ、21年には3億円以上の被害相談が寄せられたという。吉田正穂弁護士は「政治家に浸透し影響力を持つのが旧統一教会の手法だが、ここまで露骨な(政治家との)関わりは聞いたことがない」と批判した。

 家庭連合の広報担当者は「地域貢献する宗教団体を目指している。守屋市長は信者ではなく、寄付も教団の宣伝が目的ではない」と強調した。

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