<金口木舌>「望ましい未来」とは

 1975年7月20日、沖縄海洋博の一般公開が始まった。「海―その望ましい未来」をテーマに、大きな期待の中、スタートした

▼しかし半年後、閉幕を報じた本紙の見出しは「不安残し 終幕」。入場者数は目標を下回り、海洋博関連で多数の失業者も見込まれるなど「海洋博の反動による経済の落ち込みが憂慮され、ほんとの意味での復帰ショックのスタート」とも伝えた

▼海洋博開幕から47年。観光業はコロナ禍に苦しんでいる。感染が急拡大し、国や県は観光需要喚起策を延期した

▼観光活性化のために今、できることは何か。SDGs(持続可能な開発目標)を推進する企業・団体のネットワーク「OKINAWA SDGsプロジェクト」は15日、持続可能な観光についてやんばるを例に議論した

▼観光客数よりも質を重視し、高い付加価値で豊かな自然や文化を体験する形などが提案された。国家行事や行政支援策は万能ではない。海洋博で未来へ向けて掲げたテーマは普遍だ。私たちが足元の自然や文化を学び、生かせる土台を改めて整えたい。

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