「当たっていたら大惨事…」宮古島海保、巡視船が実弾誤射8発 燃料施設の方向に 伊良部・長山港

 宮古島海上保安部は19日、宮古島市伊良部の長山港に停泊中の同海保所属の巡視船しもじに搭載する20ミリ機関砲を誤って陸地側に向け、実弾8発を発射したと発表した。第11管区海上保安本部は人為的な誤射の可能性を念頭に、実弾発射に至った経緯など調査を進めている。砲身が向いた港の陸地側には県道252号があり、やぶや畑が広がる。近くには航空燃料の給油施設やガス会社の施設もある。 

 これまでのところ、消防や県警にけが人や被害の報告は入っていない。現場付近で働く女性は「もし施設に当たっていれば大惨事になっていた」と危機感を募らせる。

 11管などによると、19日午前11時10分ごろ、港内に着岸中の巡視船しもじの船首部分に搭載した20ミリ機関砲の点検作業をしていた際、誤って実弾を発射した。機関砲の周囲には空の薬きょう八つが落ちていた。

 点検時、同巡視船の船首に向かって海側には別の巡視船が停泊していたため、陸の方角に砲身を向けていた。同巡視船は洋上での射撃訓練を控えていたという。機関砲の有効射程距離などは明らかにできないとしている。

 海保関係者によると巡視船しもじに装備される機関砲は1砲で、誤射を防ぐために通常は安全装置などが設置されている。点検は安全装置などを順に取り外して行う。機関砲の発射装置に触れない限り、発砲する可能性は低い。通常の点検であれば実弾を装填(そうてん)した状態ではないという。

 同海保の福本拓也部長は「皆さまに不安を与えてしまい、深くおわび申し上げる」とコメントした。巡視船しもじは、尖閣諸島などの領海警備などを担っている。 

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