「激おこぷんぷん丸」にはルールがあった タピる、鬼カワイイ…宇大講師が若者言葉を分析

「若者言葉の研究」表紙

 タピる、激おこぷんぷん丸、鬼カワイイ-。宇都宮大工学部専任講師の堀尾佳以(ほりおけい)さん(45)(日本語学)は19日までに、現代日本の若者言葉を分析した「若者言葉の研究-SNS時代の言語変化」を出版した。1990年代後半から2010年代を中心に言葉を収集し、言語学の視点から考察した。「言葉の乱れ」と言われがちだが、変化に独自の規則性が存在するという。堀尾さんは「生きている日本語の面白さを感じてほしい」と話している。

 若者言葉を堀尾さんは「中学生から20代の男女が若者世代といえる就職前までの時期に仲間内で使用する」新しい表現や語彙(ごい)などと定義する。会話の録音資料や新聞、雑誌、交流サイト(SNS)などから言葉を収集。特徴を分析し、変化の規則性などを明らかにした。

 文化庁の19年度の「国語に関する世論調査」によると、「国語が乱れていると思う」人は66.1%で、うち6割が理由に若者言葉を挙げている。一方、堀尾さんは「若者言葉には死語となったものもあるが、造語法そのものは脈々と受け継がれている」と強調する。

 例えば10年代後半に流行し、タピオカミルクティーを飲むことを意味する「タピる」は省略した単語の末尾に「る」を付け動詞化している。「サボる(サボタージュする)」「牛耳る(牛耳を執る)」などと同じ構造という。

 また名詞「鬼」を「すごく」を意味する副詞として使った「鬼カワイイ」は、「大人買い」と同じ構造と指摘。「激しく怒っている」を指す「激おこ」から発展した「激おこぷんぷん丸」なども紹介している。

 巻末には500語以上を資料として収録した。堀尾さんは今後について「新しい表現や用法の研究を続けライフワークにしていきたい」と意欲を見せた。同書はインターネットや全国の書店で購入できる。九州大学出版会、四六判で230ページ、税別3千円。

堀尾佳以さん(本人提供)

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