「遺伝的影響 受け止めて」 被爆2世訴訟が結審 長崎地裁

横断幕を広げ裁判所へ向かう原告団=長崎市万才町、長崎地裁前

 長崎原爆の被爆者を親に持つ県内外の被爆2世26人が、国が2世援護を怠っているのは憲法違反として1人当たり10万円の慰謝料を求めた訴訟の最終弁論が19日、長崎地裁(天川博義裁判長)であった。原告団長の崎山昇さん(63)が「2世の置かれた状況や遺伝的影響の可能性があることを受け止めてほしい」などと意見陳述し、結審した。
 崎山さんは「2世は将来の健康不安におびえ、結婚や就職による差別も受けた」と説明。国は援護を放置し「二重の苦しみを背負わせてきた」と批判した。また、世界では核の脅威が高まっている一方、核なき世界の実現を目指す動きも強まっているとして「2世の法的援護につながる判決はこうした動きを後押しする」と強調した。
 提訴は2017年。原告側は、動物実験の結果などから被爆2世が原爆放射線の影響を受けた可能性が否定できないと主張。可能性がある以上、援護対象とすべきだと訴えている。国側は、人間について世代を超えた健康影響を示す研究結果はないなどと反論してきた。判決は12月12日。


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