大原美術館の名画で特殊詐欺防止 倉敷署、防犯啓発用うちわ制作

「和服を着たベルギーの少女」を印刷したうちわを手にする県警マスコット

 アートの力で防犯意識を高めようと、倉敷署は、大原美術館(倉敷市中央)と連携して防犯啓発用のうちわを制作した。洋画家児島虎次郎(1881~1929年)の代表作を採り入れ、目を引く工夫を凝らしており、増加傾向にある特殊詐欺被害の防止などを発信する。

 うちわは竹製の小判形で、長さ37センチ、幅17センチ。表面に、留学中の虎次郎が1911(明治44)年、仏サロンで初入選した作品「和服を着たベルギーの少女」を色鮮やかに印刷した。裏面には「ART SAFETY」「名画で広める 安心の街 倉敷・早島」と標語を入れた。

 千本を作り、入館者に配るほかイベントでも活用。県警と大原美術館が連携した初の試みで、今後は防犯グッズの開発も検討する。

 同美術館で14日にお披露目式があり、森川政典副館長は「東洋と西洋の架け橋となった作品が描かれたうちわが、家庭と防犯をつなぐ一助になれば」とあいさつ。中村道範署長は「県内外に安全安心の輪を広げたい」と話した。

 同署によると、上半期(1~6月)の特殊詐欺被害額は約1600万円で、前年同期比約5割増。件数も12件から22件に増えている。刑法犯認知件数は県内トップの673件(前年同期比135件増)で、自転車盗や万引、車上狙い、空き巣が多いという。

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