夏の高校野球広島県大会・3回戦
【英数学館 2 - 1 広 陵】@Balcom BMW Baseball Stadium
1点を追う土壇場、9回表。2アウト2・3塁。広陵の4番・真鍋慧(2年)の大飛球は、センターバックスクリーンへ一直線。
「逆転3ランか」
そう見えた瞬間、フェンスに体を打ち付けながらも、グラブを掲げた選手の姿に、球場はどよめいた。3アウト、ゲームセット。春夏連続の甲子園を本命視されていた優勝候補筆頭・広陵の夏が終わった。
ジャイアントキリングを生んだ、奇跡のホームランキャッチ
この球場のバックスクリーンは、ホームベースから113メートル先。高々と上がったあの大飛球を、英数学館のセンター笹村凌我(2年)が、確かに、つかんでいたのだ。
「ボールは、フェンスを越えていた気がする。グローブの先でつかんだ」
試合終了後、興奮冷めやらぬ球場で、笹村は意外なほど冷静にその瞬間を振り返った。
「練習でもやっていないことができた。最高の仲間と、これからも戦っていきたい」
幻の逆転3ラン・・・号泣した広陵の「ボンズ」
まさかの3回戦敗退。逆転3ランが幻となってしまった真鍋は、号泣していた。
「自分が打てなくて、悔しい。こすった感じで、実力不足だった・・・」
広陵の強力打線を引っ張る2年生・真鍋は、「和製ボンズ」ともいわれるプロ注目の左打ちスラッガーだ。彼の横では、こちらもプロ注目の大型外野手・内海優太(3年)ら上級生たちも号泣していた。真鍋は、きっぱりと言い切った。
「自分のせいで、先輩との夏が終わってしまった。去年、ことしと悔しい夏なので、自分の代では甲子園に出たい」
前の試合は、前年の覇者でもあるライバル・広島新庄を倒していた広陵。事実上の「決勝戦」とも言われた一戦を経て、きょう20日の3回戦を迎えていた。しかし、屈指の強力打線も、英数学館の右腕・末宗興歩(3年)を前に、終盤までわずか1点に封じられてしまった。
広陵から大金星を挙げた英数学館は、4回戦で近大福山と吉田の勝者と対戦する。