「100%の力で打ち込みたい」彼女はなぜ“通学しない”通信制高校を選んだのか【現場から、】

通信制の高校に通いながら、まちづくりに関わる活動をしている高校生が静岡県掛川市にいます。彼女はなぜ、通学しない高校を選んだのか、どんな将来を夢見て活動しているのでしょうか。

<授業風景>

「My son became a soccer player.さあどういう意味?」

掛川市に住む高校3年生、高橋和子(わこ)さん17歳です。和子さんは、角川ドワンゴ学園が運営する通信制の「N高校」に在学し、3年生になってからは、ほとんど学校に通わずに勉強をしています。

<高橋和子さん>

「(普通の高校との)違いは、リラックスできるところ。好きな体勢で、好きな場所で、好きな時間に授業が受けられるのが、自分としてはすごくリラックスして勉強できる」

VR=仮想現実を使った授業もあります。VRを使うことで、通学型の授業でも得られないような体験もすることができます。

和子さんのように通信制高校を選ぶ生徒がいま、増えています。

文部科学省の調査によると、この45年間で学校数は約3倍、生徒の数も6万人増えました。

和子さんは中学生のころから、自習室の運営やイベントでのカフェ出店などの活動をしてきました。その一方で、活動を続けるには十分な時間をとれないと感じていました。

<高橋和子さん>

「学校がなかったらいいのに、学校を早退できたらいいのにという思いがあった。自分が100%の力でその活動に打ち込めない、じゃあ高校に行かない選択肢をとるしかないんじゃないか」

<和子さんの母 高橋恭子さん>

Q.お母さんはすごく反対したという話を(和子さんが)していたんですが?

「自分の経験値に通信制の高校というものがなかったので、全日制の高校に行くのが当たり前と思っていた」

しかし、和子さんの強い熱意を感じて進学を認めてくれました。

<和子さんの母 高橋恭子さん>

「学校説明会に行って(考えが)180度変わって、隣を観たら夢見心地の和子がいて、これはもう止められないと」

和子さんはいま、学外活動として生涯学習について学んでいます。

<元掛川市職員 中山礼行さん>

「歴史とか、人の心とか、郷土愛は目に見えない。だけど、そこに大事なものがある」

教育活動や芸術文化など幅広い学びを通して人生を豊かにする生涯学習。掛川市は全国で初めて「生涯学習都市宣言」をした自治体です。

<石川副市長とのあいさつ>

「こんにちは」

「いらっしゃいませ」

和子さんは、先人が築き上げてきた掛川の魅力を知ったことで、あるイベントを企画し、掛川市役所を訪ねました。

<高橋和子さん>

「2030年の掛川を考える3日間というのをやりたいと思っていて」

イベントの方向性や自分の思いを副市長にぶつけました。

<掛川市 石川紀子副市長>

「(和子さんは)本当にたくましいなと思います、掛川の未来はとても明るいなと思うことが多い。ぜひ一緒に連携して、まちづくりをしていきたい」

小さい時から続けているピアノは、通信制高校に通うことで弾く時間が増えました。和子さんは、大学は静岡県外へ進む予定です。この経験を大好きな掛川に還元したいと考えています。

<高橋和子さん>

「いずれは掛川に帰ってきて、掛川をもっとおもしろくする活動や掛川にこういう問題があるから面白く解決するにはこういう方法があるよね、ということを提案して実行することを将来的にはやっていきたい」

周りに流されることなく、自分の道を選んだ17歳は、その行動力やアイデアで地域を変えようとしています。

© 静岡放送株式会社