「デコりすぎて」「歯が鉄火巻きみたいで」驚きの絶滅理由 見て触って体感「わけあって絶滅しました。展」

「やさしすぎて」絶滅した「ステラーカイギュウ」の骨格レプリカ

累計発行部数90万部を突破した人気図鑑の初大型展覧会「わけあって絶滅しました。展」が22日から9月4日まで、大阪南港ATCホール(大阪市住之江区)で開催される。21日に行われた内覧会では、約5億年前の古生代から現代までのユニークな理由で絶滅した生物の化石や模型が報道陣に公開された。

入り口付近では、古生代の「アノマロカリス」と「オパビニア」の動く模型が出迎える。目を5つ、体の両サイドに多数のヒレ、顔の前に長いホース状のうでを持つ「オパビニア」は、環境の変化に対応できず「デコりすぎて絶滅」した生物。長い腕をゆっくりと揺らす姿を模型で表した。

図鑑シリーズの〝顔〟として知られる「やさしすぎて絶滅」してしまった「ステラーカイギュウ」の骨格レプリカも展示されている。ステラーカイギュウは海藻を食べていた巨大なほ乳類で、1768年に絶滅した。仲間が攻撃されると集まって守ろうとする性質があったため、人間に捕獲されやすく、発見からわずか27年で滅んでしまったという。

「やさしすぎて」絶滅した「ステラーカイギュウ」の骨格レプリカ

約2300万~260万年前の新生代に生息していた「デスモスチルス」は「歯が鉄火巻きみたいで」絶滅。複数の円柱が束になった形で、外側が固く内側がやわらかい歯はまるで「鉄火巻き」のよう。展示された歯の化石からも、その様子が見て取れる。独特な形の歯によって食べ物が限定されていたと考えられ、寒冷化による環境の変化に対応できず絶滅したという。

「歯が鉄火巻きみたいで」絶滅した「デスモスチルス」の化石(東京サイエンス所蔵)

ほかにも、「無敵すぎて絶滅」した体長6メートルの巨大なナマケモノの近縁「メガテリウム」の等身大パネルや、ティラノサウルスの全身骨格レプリカなど、生物の特徴を体感できる展示物が並ぶ。

巨大なナマケモノのなかま「メガテリウム」の等身大イラスト

図鑑と展覧会を監修した動物学者の今泉忠明氏はティラノサウルスを例に、「恐竜の脳の大きさを見てください。あんなに(体が)でかいのに、脳みそはこれくらい(指先を合わせてつまむしぐさ)です。その小さな脳で走り回っていた。何を考えていたか想像するとこの『わけあって絶滅しました。』がよく分かると思います。未来のことは考えていないですし、その小さな脳で未来を予測することはできないので、仕方なく滅んでいったということもあると思います。実物(大のレプリカ)があるということで相当楽しめると思います」と見どころを語った。

「アノマロカリス」の動く模型の前に立つ今泉忠明氏(左)と丸山貴史氏

(よろず~ニュース・今井 佳奈)

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