轟峡死傷事故 諫早市、遺族と賠償額で合意 復旧工事完了 順次部分再開へ

 2020年7月、親子3人が死傷した長崎県諫早市高来町の轟峡のり面崩壊事故で、市は21日、遺族側との示談交渉について損害賠償額が合意に至ったことを明らかにした。崩壊部分の復旧工事が完了し、再発防止に向けた安全管理マニュアルもまとまったことから、市は8月以降、安全が確認できた場所から順次部分再開していく。市議会全員協議会で説明した。
 事故を巡っては、市は管理瑕疵(かし)責任を認め、遺族に謝罪。再発防止策を説明しながら示談交渉を進めていた。9月定例市議会に賠償額を盛り込んだ関連議案を提出する。現時点で金額は明らかにしていない。
 マニュアルでは▽気象状況による轟峡一帯の入場規制▽安全点検の実施方法▽点検結果の処理▽点検を実施する職員の人材育成や管理能力の向上-について対応を明文化。このうち入場規制については、大雨警報や暴風警報の発令時、梅雨の時期、震度4以上の地震発生時とし、解除基準も策定した。基準については今後、一般への周知を図る。
 部分再開については、▽第2駐車場▽第3駐車場▽自然プール-の3カ所を早期再開場所の候補としている。一方でキャンプ村、かじか橋は施設の老朽化が進んでおり、関係遊歩道を含めて一般の立ち入り禁止を継続していく考えで、全面再開の見通しは立っていない。
 市は「事故を教訓とし、二度と惨禍が起きないよう、安全管理について万全を期していきたい」としている。


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