北陸3県の知事だけで懇談、平成以降では初めて 「三人寄れば文殊の知恵」新幹線延伸で連携強化

杉本達治知事(右から3人目)と新田八朗知事(同2人目)に金沢港クルーズターミナルの概要を説明する馳浩知事=7月21日、石川県金沢市

 福井県の杉本達治知事と石川県の馳浩知事、富山県の新田八朗知事による懇談会が7月21日、石川県金沢市の金沢港クルーズターミナルで開かれた。2024年春に北陸新幹線金沢―敦賀間開業を控える中、3県が連携を強化して首都圏に情報発信し、延伸効果を最大化していくことを確認。新型コロナウイルス対策として、感染に関する3県のデータを共有、活用していくことで合意した。

 北陸3県知事と北陸経済連合会の懇談会は毎年夏に行われているが、3県知事のみの懇談は、少なくとも平成以降では初めてとみられる。

 3月に初当選した馳知事は、ホスト県として「今日はキックオフ。北陸新幹線敦賀開業に向け、足並みをそろえることが効果的」と懇談を歓迎。新田知事は「3県がウィンウィンになる取り組みをつくり出していきたい」と応じ、杉本知事も「三人寄れば文殊の知恵。力を合わせていきたい」と呼びかけた。

 「北陸3県連携の取り組みについて」を議題に、3県が検討した連携事業をそれぞれ説明した。杉本知事は、北陸新幹線の整備を巡り、関西・中京とのアクセス向上や敦賀以西の認可着工に向けた活動の強化を主張。並行在来線の魅力向上を図る共通切符の発行や首都圏アンテナショップの連携、3県のフルマラソンでの交流促進も提案した。

 馳知事は、秋の観光シーズンに向けた誘客活動の連携や3県をつなぐサイクリングルートづくりを提示。新田知事は「広域観光推進には知る、作る、売るの連携が重要」とし、魅力の相互理解や資源の磨き上げなどを戦略的に展開する重要性を指摘した。

 新型コロナに関して、杉本知事が「出口戦略をどう考えるか、普通の病気にしていく方法を整理するため、濃密な情報交換を行いたい」と提案した。新田知事は「データは多い方がいい」、馳知事も「データに基づいた対応や出口戦略は全国知事会を通じて提案すべき極めて重要な案件」と述べ、賛同した。

 3知事は懇談に先立ち、石川県の海の玄関口として20年6月に供用開始した、税関・出入国管理・検疫(CIQ)やレストラン、展望デッキを備えた金沢港クルーズターミナルを視察した。

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