「警視庁強行犯係 樋口顕Season2」67歳の内藤剛志が年齢を重ねることへの思い…「年を取っても楽しそうにしていたいな」

内藤剛志さん演じる等身大の刑事・樋口顕が、高い洞察力や推理力で事件の裏に潜む真実を追求していくさまを描く「警視庁強行犯係 樋口顕Season2」(テレビ東京系)。仕事と家庭のはざまで悩みながらも、自分が信じる正義を貫き真摯(しんし)に事件に向き合う彼の姿は、見ていて人間らしさを感じられ、共感できる方も多いのではないでしょうか? また、数多くの難事件が待ち受ける中、Season2ならではの新たな樋口の活躍にも期待が高まります。

今回は、そんな樋口顕を演じる内藤剛志さんを直撃取材! 本作がご自身にとってどんな存在なのかや座長としての気遣い、またセリフの覚え方や年齢を重ねることへの思いについてお伺いしました。

――内藤さんはこれまで「警視庁・捜査一課長」シリーズ(テレビ朝日系)の大岩純一や「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)の剣持勇など、さまざまな刑事役を演じられていますが、本作は内藤さんにとってどんな存在の作品ですか?

「本作のシリーズは、2003年に放送された『朱夏 警視庁脅迫事件』から20年近くやらせていただいているので、ドラマの中でリアルに年齢を重ねていくことができているんですね。それはほかの作品にはない、すごくいいところだと思っています。だから、樋口は50代ですが、ドラマの中の年月を考えると少なくとも20年はたっているイメージで、その時間の経過を見せるためにメークで白髪の量を増やしたりして。また、30代後半でこの作品に初めて出会って、20年間一緒にやらせていただいたというのも、ほかのドラマにはない部分かな。共演者の方々との関係性もすごく深くなってくるから、ある種ドキュメンタリー的な要素も含まれているんじゃないかと思います。視聴者の皆さんに見ていただいて、さらに続けていけたらうれしいですね」

――ぜひ期待しています! 主役を演じるにあたり、座長として意識されていることはありますか?

「楽しい現場になるように意識していますね。そのために、俺が延々と話しているので『一番うるさい』とよく言われます(笑)。シーンとした静かな現場が嫌なので、みんなが楽しめて、朝起きたら『今日は内藤がいる撮影現場だから楽しみだ!』と思ってもらえるようにと考えています」

――それは共演者の方からするとありがたいですよね。初共演の方にも話しかけたりされるんですか?

「もちろんです! 生放送番組『大人のこだわりにこだわるスタイルプラス』(東海テレビ)で司会を長くやらせていただいたのですが、そこでは初めてお会いする方がたくさんいらっしゃるんですね。でも、その中で距離を縮めていろんなお話を引き出さないといけないから、事前に相手の方の情報を調べてお話ししたりしていましたね。だから、今でも初共演の方がSNSなどをやられていたら、それをチェックしておくこともあります。全く知らなくても、お話しさせてもらいますけどね(笑)」

――内藤さんの気遣いで和気あいあいとした現場になっているんですね。ドラマには刑事用語なども多数出てくるかと思うのですが、どのようにセリフを覚えていらっしゃるのでしょうか?

「声に出して覚えるのが一番早いです。なので、台本を見ながらぶつぶつ言って覚えることが多いんですが…最近はセリフの量がすごく多くて、覚えきれなくて(笑)。だから、最近は一言一句覚えるのを止めて、そのシーンの内容を頭に入れる作業をしています。例えば、そのシーンが持つ機能ってあるじゃないですか? ある場面では、樋口が誰かを疑っていることが分かるように、またあるシーンでは事件の解説をしてみたり、それらの機能がつながって一つのドラマになるので、そのシーンでのやるべきことだけを頭に入れて、セリフはほどほどにしゃべっています(笑)」

――そうなんですか!?(笑)。

「もちろんざっくりとは覚えますけど(笑)、撮影時にセリフや演じ方が変わることもあって、そのリアルな空気感も大事にしたいなと思っています。だから、事前に各シーンの流れや意味を把握しておいて、撮影現場で実際に共演者やスタッフの方々と確認しながら詰めていっています。でも、そうすると、記録さんという台本のセリフを含め細かくチェックされているスタッフさんがいらっしゃるのですが、いつもすごく怖い顔で僕のことを見ていますね…ご迷惑をお掛けしています(笑)」

――いろんなスタッフさんの思いが込められているんですね(笑)。ちなみに、ドラマの解禁時に内藤さんの67歳のお誕生日をお祝いされていたかと思うのですが、そちらのコメントで「若い人が“年を取るのは楽しいだろうな”と思えるようにしたいです」とお話しされていたのがすごく印象的でした。

「実は、そういうお話しをされていた先輩がいらっしゃって。『年を取ることについて、体が動かしづらくなるとかネガティブな要素だけを拾っていてもしょうがないだろう? 後からついてくる後輩たちが楽しそうと思えなかったら、世代をつないでいくことはできないよね』と言われていたんです。また、ほかの先輩も『できなくなることを楽しんだらいいんだ』と言われていたりして。僕たちは体を使って仕事をするので、速く走れなくなったり、セリフ覚えが悪くなってきたりといろいろありますが、それを楽しむこともできるんじゃないかと。例えば、今までと違うやり方で挑戦してみるとか…いろんな考え方ができるとおっしゃっていたんですよね。だから、それらをまとめて、僕も年を取っても楽しそうにしていたいなと思ったんです」

――とてもすてきな考え方ですよね。

「だって、説教したり、昔話ばかりして不機嫌そうな先輩って嫌じゃないですか?(笑)。もちろん、日々生活しているといろいろあると思うんですが、楽しげに振る舞うって大事なことだと思いますね。この作品でも、氏家譲役の佐野(史郎)や天童隆一役の榎木(孝明)も楽しそうにしていますよ。それは、本作の一つの空気でもあるんでしょうけど。そこは、もしかしたら僕たちの勝負でもあるかもしれませんね。本作でも若いキャストとして菊池和馬役の佐野(岳)や藤本由美役の(片山)萌美、中田裕之役の小松(利昌)がいるので、いかに『面倒くさいおじさんたちだな』と思われないようにできるか。でも、それは若い人たちに合わせるという意味ではなくて、僕たちが楽しそうにしていることが大事かなと。それはいつも感じていることでもありますね」

【プロフィール】

内藤剛志(ないとう たかし)
1955年5月27日生まれ。大阪府出身。ふたご座。O型。ドラマ「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)、「はんなり菊太郎~京・公事宿事件帳~」(NHK総合)、「十津川警部シリーズ」(TBS系)、「科捜研の女」シリーズ、「警視庁・捜査一課長」シリーズ(ともにテレビ朝日系)、映画「望郷の鐘 -満蒙開拓団の落日-」「科捜研の女 -劇場版-」、ドキュメンタリー番組「25歳〜情熱の起点〜」(テレビ朝日系)などに出演し、多方面で活躍。

【番組情報】

金曜8時のドラマ「警視庁強行犯係 樋口顕Season2」
テレビ東京系
金曜 午後8:00~8:54

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当)

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