【埼玉】高校野球 浦和学院/プロも注目する左腕・宮城誇南

 高校野球の第104回全国選手権埼玉大会。23日には準々決勝4試合が行われる。
 センバツ4強、関東大会優勝と強さを見せつけた浦和学院のエース・宮城誇南はプロからも注目が集まる左腕だ。

壁を乗り越え、投球の引き出しが増えた。さらなる高みを目指し、打倒大阪桐蔭、全国制覇を狙う

宮城誇南(浦和学院)
みやぎ・こなん/3年/投手/173cm、75kg/左投左打

 センバツでは先発3試合、計23回1/3を8安打27奪三振3失点で4強に貢献。実は昨年末の左肩痛で調整が遅れたこともあって、春は本調子ではなかった。では、なぜ抑えられたのか。
「一番は力感のないフォームでキレを意識したことですね。あとスライダーの調子が良かった。そして生命線である対角線(左打者への外角球)への精度も出せていたと思います」
 センバツ後は試練を受けた。体重を昨夏の67㎏から8㎏増やしており、テーマに掲げたのは最大出力を生かした直球の力強さ。ただ春の県準々決勝こそ抑え登板で最速1㌔更新の143㌔が出るも、続く準決勝は完封しながら8四死球。また関東大会準々決勝では強打の明秀日立(茨城)に対して力み、5回7安打5失点で降板。「球離れが早くて見やすかったと思う。配球も一辺倒でした」と反省する。
 ただ、これで終わらないのが宮城の好投手たる所以だ。自身の投球を分析し、森大監督とも話し合って「力感のないフォームから球がピュッと来るギャップ。その最大の長所が消えてしまっていた」との結論へ。そして4日後の準決勝、山梨学院戦では「原点に返って、コントロール重視で投げていたセンバツを思い出しました」。フォームの間合いを崩さないようにしながら無走者時は抑え気味の出力でコースを突き、ピンチになったらギアチェンジ。それでもイメージは「ズドンという球ではなくスーッと入っていく球。そのほうが打者も差し込まれてくれるんです」。調子が上がらない中でいかに抑えるか。メリハリのある投球を見せ、7回を散発3安打無失点と完璧に封じた。
 壁をしっかり乗り越え、投球の引き出しを増やして迎える夏。見据えるのはもちろん――。
「近江とのセンバツ準決勝は監督から『どんな状況でも投げない』と言われていましたが、やはり投げたかった。また決勝で大阪桐蔭を倒すのも目標だったので、ベスト4では悔しかったですね。もっとレベルを上げて埼玉を圧倒的に勝ち、全国制覇につなげたいと思います」

宮城誇南(浦和学院)

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