崩土で県道通行止め みなべ町高野、住民ら不便強いられる

山の斜面から土砂が崩れ落ち、県道をふさいでいる(22日午前8時前、和歌山県みなべ町高野で)

 和歌山県みなべ町高野の県道たかの金屋線が崩土により通行止めになっていることで、現場より上流の住民が、通勤や買い物の際に遠回りするなど不便を強いられている。県道沿いの用水路もふさがり、農家は稲作への影響を心配している。

 地元の住民によると、現場の上流には約25世帯が住んでいる。町の中心地などに通勤や通学、買い物に行く際には、林道と町道市井川線を使って大回りしなければならず、通常なら5分ほどで行ける高城公民館まで30分ほどかかるという。学校は夏休みに入ったものの、クラブ活動に行くのに苦労し、保育所への送り迎えも不自由している。自宅から水田や梅畑に行き来できない人もいる。

 高野区長の大串哲也さん(54)は「急病人が出た場合大丈夫だろうか。復旧が長引くと、通学や通院などにも影響してくる」と表情を曇らせる。短期の復旧が難しいとなれば、近くに歩いて通れる道だけでも造ってもらいたいという。

 用水路には高野川の上流から水が流れ込んでおり、崩土でふさがったことで水が止まったまま。現場の下流では6戸が稲作をしており、水を取り込めないでいる。石橋勝さん(68)は「今は稲穂が出る時期なので、水が要る。しばらく雨がなさそうなので心配。対策が必要だ」と話す。住民らは県に、ポンプを使って用水路に水を引き込んでもらえるよう要望しているという。

 県日高振興局建設部などによると、崩土は通行人からの通報で、県や町の職員が20日午後3時ごろに確認。午後8時ごろに大きく崩れ、その後、少なくとも午後10時半ごろと21日午前5時半ごろにも崩れた。延長約40メートル、高さ約40メートルにわたって崩れ、幅員約5メートルの県道を完全にふさいでおり、22日正午現在、復旧の見通しは立っていない。

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