上越市内建造物7件答申 国の文化審議会 登録有形文化財で

 国の文化審議会(佐藤信会長)は22日、上越市内の建築物7件を国の登録有形文化財(建造物)に登録するよう文部科学大臣に答申した。答申後、官報告示で正式決定される。これにより同市内の登録有形文化財は42件となる。
 答申されたのは板倉区針の旧藤田家住宅(いたくら亭)の主屋と土蔵、上越市北本町1の高野醤油味噌醸造店の店舗兼主屋と土蔵および作業場、同市中央3の旧酢屋呉服店の店舗兼主屋と土蔵、同市東本町2の旧早川タンス店(越後高田樂市樂座)の店舗。いずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準で登録される。

◇旧藤田家住宅

旧藤田家住宅(いたくら亭)主屋外観(上越市提供、清水恵一さん撮影)

 旧藤田家は医家の住宅で、主屋が大正12年築、診療も行っていた。天井の高い2階建て座敷棟と入母屋造りの医院玄関棟がある。昭和元年築の土蔵は雪国の典型的な造り。現在はそば店となっている。

◇高野醤油味噌醸造店

高野醤油味噌醸造店の店舗兼社屋(同、山崎昭広さん撮影)

 高野醤油味噌醸造店は、店舗兼主屋が昭和7年築、土蔵および作業場が明治39年築。前土間から奥への通り土間が続き、北に吹き抜けの茶の間と南に作業室がある。背後の土蔵は雪国の伝統的な醸造業の姿を残す。現在も住居と店舗として使われている。

◇旧酢屋呉服店

旧酢屋呉服店店舗兼主屋の吹き抜けから茶の間と土蔵を見る(同)

 旧酢屋呉服店は、店舗兼主屋が明治41年築。通り側には霧除庇(きりよけひさし)の豪壮な外観、2階には20畳の大広間(座敷)がある。覆屋を架けた内蔵形式の土蔵は明治4年築。工務店の事務所として活用されている。

◇旧早川タンス店

旧早川タンス店(越後高田樂市樂座)の外観(同)

 旧早川タンス店は前土間と店を設け、2階表側は広い加工場でタンスの荷揚げ口を備えている。現在は定期的なフリーマーケット「我楽多市」などが開かれている。
 同市文化行政課は「登録有形文化財は保護だけでなく、まちづくりや観光などに積極的な活用が期待されている制度。(今回の登録は)全て現在活用されている」と話した。

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