【ファッション】スウォッチxオメガのコラボ、ムーンスウォッチをゲット!手首に着けるのはどんなストーリー?

1969年、人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号。月面に降り立った宇宙飛行士達の手首に巻かれていたのはオメガのスピードマスター。ムーンウォッチの愛称で記憶に残ることになったこのスピードマスターが、オメガとスウォッチのコラボレーションにより新たにリファインされ、お手頃な値段で発売中です。

スピードマスターとは

[スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル ウォッチ - オンラインショッピング | OMEGA JP®]

SPEEDMASTER '57 コーアクシャル マスター クロノメーター クロノグラフ 40.5MM www.omegawatches.jp

えぇと、私は別に腕時計マニアでもないので、あくまでざっくりとしたことしか言えませんが、腕時計というものは時間を知るための道具というよりも、時間を知るという名目で手首を飾るファッションアイテムだと思うんですね。だって時間を知るためだけだったら確かにスマホで十分ですからねえ、いまや。

ファッションアイテムであるからには、まずはそれを身につけるタイミング、つまりTPOが大事なことは言うまでもありません。
そこで、大雑把に時計の種類を分けると(価格やブランドの有無で、 ラグジュアリーウォッチ ≒いわゆる高級時計 と カジュアルウォッチ ≒数百円〜買える 格安クォーツなど には二分できますが)以下のようになります。

  • ビジネスウォッチ
    ビジネスの場など、日常かつ公的な生活の場にふさわしいデザイン
  • スポーツウォッチ
    文字通り、スポーツを楽しむ時間を彩る目的の時計。例えばワークアウトやジョギング、スカイダイビングやサーフィンなど
    種目に合わせた機能を持つものが多い。例 クロノグラフなど
  • ドレスウォッチ
    ドレスコードがあるパーティなど、フォーマルな装いの際に選ぶ時計。シンプルなカラーやデザインが特徴。

[腕時計情報ならここが1番わかりやすいかな。 「基本的な用語を毎回ひとつ取り上げて、分かりやすく解説」してくれています。 →ライフ 時計]

ただ、アスレジャー的な言い方になりますが、普段の生活(ビジネスシーンも含む)での装いにスポーツテイストがだいぶ入り込んでいるように、腕時計においてもスポーツウォッチはビジネスの場に着けていてもあまりおかしくはないですね。もちろんドレスウォッチでもビジネス目的に使ってもいいと思うけど(スポーツシーンには合わないし壊れちゃうかもだからやめた方がいい)、まあちょっと合わないかな。タキシードで仕事するようなもんだからね。

スピードマスターはスイスの高級時計メーカーのオメガの代表的なブランド(≒ラグジュアリーブランド)のひとつです。

スピードマスターは、上の区分で言えば、02のスポーツウォッチの部類に入りますね。 (スポーツウォッチ> クロノグラフ

1957年に生まれたスピードマスターは、 6度の月面着陸プロジェクトすべてにおいて、NASA公式装備品となった時計です。前述のとおり、1969年には月に降り立った宇宙飛行士の腕に巻かれていたのが4代目スピードマスター プロフェッショナル。唯一無二のムーンウォッチとしての栄誉を得た腕時計なのです。

うーんカッコいい。

腕時計市場を救ったスウォッチグループ

腕時計は、そのムーブメント(車におけるエンジンのようなものですね)の種別によってざっくり分類できます。つまり電池で動く クォーツ式 (電子時計とか太陽光発電の時計などもここに含みます)とゼンマイで動く 機械式 。機械式には、手巻き、自動巻きに分けられます。
(高性能ムーブメントの中には キャリバー と呼ばれるブランドもあります。ちなみにゼンマイを巻き切って時計が止まるまでの時間のことを パワーリザーブ と言いますが、ムーブメントの性能によって24時間とか72時間など、まちまちです。当たり前ですがクォーツ式、つまり電池による駆動であればほっておいても一年くらいは動いてるでしょうから、比較すべきポイントではないですね)

時間の精度で言えばクォーツ式に軍配が上がりますが(機械式だと 1日に数秒単位 、クォーツ式なら 1ヶ月、へたしたら1年で数秒単位 の誤差ですからねえ)、作るのが手間なうえに、高性能なムーブメントを作れる職人や工房は多くない(つまり同じ機械式でも、古臭い仕組みである 手巻き式の方が 自動巻きのムーブメントより 作るのが難しいし、そもそものパーツ数が多いので高くつく→高い時計になる )機械式時計は、まあ今どきじゃないわけです。高級感なかったらとてもじゃないが買わないですね。

私の個人的な感覚で言えば(あくまで私の見立てに過ぎないし、ブランドによって異なりますよ!)、ざっくり20万円まではクォーツ式、それ以上だと機械式で自動巻き中心、高価格になればなるほど、手間をかけても見合うので手巻きが増えてくるイメージ。なにせ腕時計は自動車並みに高くなりますからね(高いものは数千万円します!)。

また、クォーツ式であれば部品点数も少なく、長針短針を使うアナログ表示だけでなく電卓のようなデジタル表示など好きなデザインを選べますが もともとは正確さの代償としてトルクというか重い部品を動かすパワーに欠けるとしてクロノグラフのように動かさなくてはならないパーツが多い時計には向かないとされていました(今はそんなことないでしょうが)。クォーツ式のムーブメントは入手しやすいため多くの時計メーカーが採用し、時計市場を席巻しましたが、ケータイやスマホなどでも同じように時間を知れて、電気で動いていることから時間を知るために腕時計をもつ意味なくない?という気分が広がり、腕時計市場が崩壊しかけてしまいました。

それを救ったのが スウォッチグループ です。スウォッチは、クォーツやエコなバイオセラミックなどを使いつつ、お洒落な時計をシーズンごとに発表するという手法を用いて日本勢中心のクォーツ式時計からシェアを奪い返しました。一生モノみたいな感覚の腕時計を、季節ごとに着替えられるファッションプロダクトとして定義し直したのです。

今では、今回登場のオメガやロンジンなど、数々の高級ブランドも傘下に収め、グローバル企業としての地位を確立しています。

ちなみにクォーツ式を腕時計に初めて採用したのはセイコーだそうです。

オメガ x スウォッチのコラボウォッチ

ファッションに関わらず、世間一般のトレンドは女性が引っ張っている気がしますが、やっぱり腕時計の主力は男性向け。高級ウォッチ、ラグジュアリーウォッチの市場は男性用が主体であることはまあ間違い無いですかね。(あ、もちろんメンズだけでなく各ブランドともにレディースウォッチの種類も豊富ですよ!)

正確さや機械の精度など機能面だけで語られてきたうちは、腕時計の一大生産地である スイス (ドイツ的職人芸だけでなく、超綺麗な水→ もちろん飲み水としてではなく工業用水としてですよ が豊富であるためですかね)一辺倒だったと言えますが(実はスウォッチグループもスイス発です)、ファッション要素が強まると、元々時計を作っていたこともあり、イタリア(パネライが代表格かな)やフランスなども台頭してきましたね。

腕時計に高級感あるデザインが必要になると、いわゆるハイブランドである、イタリアの ブルガリ (外装だけでなくムーブメントも含めた一貫性ある開発ブランドは マニファクチュール と呼ばれてます。ブルガリもその一つです)やグッチ、フランスの シャネル カルティエ などが素晴らしくリュクスな時計を生み出してくれています。

ただ、いわゆるラグジュアリーウォッチは機能面でもファッション面でも申し分なく優れたものなんでしょうが、いかんせんお高いんですな。まあ、ラグジュアリーと名乗る以上格安というわけにはそりゃいかないのはわかりますが、おいそれと買い求めるには数十万円から数百万円は当たり前ですからねぇ、クルマじゃねぇーんだ!と怒ったところで相手はほんの小さな筐体にとてつもなく精密な技術を組み込んだ、いわば小宇宙みたいな存在ですからねぇ。

前述のスピードマスターみたいに、世界で唯一無二のストーリーを持つ時計はそりゃお高いのは当然なんですわ。

じゃあ、お手頃価格で入手できるようにしようじゃないか、と乗り出したのがスウォッチ様。傘下のブランドであるとはいえ、高級時計の代名詞の一つ、 オメガのこれまた代表的な逸品スピードマスターを取り上げて、コラボレーションした“11種類の特製コラボウォッチ「バイオセラミック ムーンスウォッチ」”を作っちゃったんですな。2022年6月時点の販売価格は一律 税込 ¥33,550)

11種類というのは、ムーンウォッチにリスペクトを捧げた月(Mission to the Moon)に加え、太陽(Mission to Sun)を含む太陽系の惑星(水星 Mission to Mercury 金星 Mission to Venus 地球 Mission on Earth 火星 Mission to Mars 木星 Mission to Jupiter 土星 Mission to Saturn 天王星 Mission to Uranus 海王星 Mission to Neptune)+準惑星(冥王星 Missin to Pluto) をオマージュして、それぞれのイメージカラーを筐体のバイオセラミックプラスチックに加えたもの。

さすがに本家のスピードマスターと全ての素材や作りを備えることはできないものの(例えば本家は機械式だけど、コラボ版はクォーツ式。ただ、電池交換蓋がそれぞれの星をイメージしていてかわいいです)、一番人気とされる Mission to the Moon などは落ち着いた黒ペースで本家と見紛う出来。宇宙服の袖口の上から嵌められるようにマジックテープで留めるいわゆるベルクロストラップが全モデル共通で採用されていますが、このストラップを高そうなストラップに替えたりしたら、時計に詳しくない人ならすごい高級時計(もしかしたらオメガ?みたい)に誤解してくれそう?です。

このコラボウォッチ、先着順とか数量限定などの特別販売ではなく、汎用モデルとしての販売で旬が過ぎれば 誰でも入手できるようになるとのことですが、通常のオメガブランドなら数十万数百万するスピードマスターが、3万円台で手に入るとしたら時計マニアが黙っているはずもなく、一斉に販売店に殺到し、あっという間に店頭在庫なしの状態になってしまったんです。

いわゆる転売ヤーもこの現象を見過ごすはずなく、市場ではこの時計、モノによっては10万円以上の高値で取引されるようになってしまいました。

そんな折、このワタクシメ、通常価格よりだいぶ高いことは知りつつ、その転売屋さんの企みにまんまと乗ってしまったんです。

赤い差し色の時計が欲しかったこともあるんですが、火星モデルを倍以上の価格で買ってしまいました(それでも欲しかったんです、ミーハーなんです泣)。それがコレ。

[Mission to Mars (8)]

黒や茶色ベースと比べるとかなりチャチい。
でもそれがいいんです。オモチャぽさがかえってキッチュでイイと思ってたので。

定価3万円台のクォーツをしてて、本物のスピードマスターと間違われる方がなんだか恥ずいてモノでしょう?初めて会う人の前ではちょっとつけられないかな、本当は本物買いたかったんだろうな、と思われてこの時計に触れてくれなかったらイヤだし。いやいや、ちゃんとした時計も持ってますよと言い訳するのイヤだしね。

ちゃんとした腕時計も持ってるし、その価値も知ってるんだけど敢えてつけてるんですよ、と分かってくれる人に「ようやく手に入れましたよ、可愛いでしょ」と見せびらかしたい。この時計の持つストーリーをこんこんと話し聞かせたい。そんな気分の時計なんですよ、このバイオセラミック ムーンスウォッチは。

楠雅彦 | Masahiko Kusunoki

車と女性と映画が好きなフリーランサー。

Machu Picchu(マチュピチュ)に行くのが最近の夢。住みたいぜ!

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