「少しでも幸せになってもらえれば意味ある」平和願い名門“キエフ・バレエ”が公演 招待のウクライナ避難民「戦争は痛く苦しく辛い」

ウクライナの名門劇場「キエフ・バレエ」のダンサーが平和を願い、静岡のステージで圧巻の踊りを披露しました。招待されたウクライナの避難民には母国への思いが溢れました。

7月21日、静岡市清水区を訪れたのは、ウクライナの名門劇場「キエフ・バレエ」のダンサーたち。監督を務めるのはウクライナ出身のエレーナさんです。

<キエフ・バレエ芸術監督 エレーナ・フィリピエワさん>

「戦争が始まって私たちの劇場も閉鎖されてしまいました。公演どころか、練習もまともにできなくなってしまった」

ロシアによるウクライナ侵攻後、海外での公演は日本が初めてで、静岡は群馬・東京に次ぐ3か所目です。

21日は、避難民の家族がこの舞台に招待されました。2022年5月にウクライナから避難してきた女性とその長男です。2人は、静岡市に住む姉の家族4人と共に暮らしています。

オープニングはウクライナの民族舞踊。躍動感のある踊りで観客を魅了します。今回の演目では、当初予定していた「白鳥の湖」などのロシアの楽曲は扱いませんでした。

芸術監督のエレーナさんが披露した「瀕死の白鳥」は、ウクライナ人の悲しみが表現されています。

そして、今回のツアーで世界で初めて披露された「ひまわり」。

<キエフ・バレエ 副芸術監督 寺田宜弘さん(振り付け担当)>

「ひまわりはウクライナのシンボル。苦しさを忘れていただくことが私たち芸術家にとって一番大事なことであって、少しでも幸せになっていただければ、私たちがこの街で踊る意味がある」

32人のダンサーによる圧巻の踊りと祈りは、避難民の親子の心に届きました。

<ウクライナからの避難民>

「すごくきれいなダンスでめちゃくちゃ感動した。ご飯がないから、雨の水を飲んで、カタツムリとかを食べて、毎日一日一日いつ死ぬかもわからない状況で、毎日頑張って生きている。戦争は痛くて苦しくて辛いから一秒でも早く戦争がなくなることを祈っています」

ウクライナに平和が戻る日を祈り続けます。

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