生駒里奈が「OTHELLO」で連ドラ初主演! でも実は…「プライベートでは怖いの一切NGです(笑)」――インタビュー前編

映画「リング」シリーズや「仄暗い水の底から」など、数々のホラー作品を世界に届けてきた鈴木光司さんが新たに脚本を手掛けるドラマ「OTHELLO」(ABCテレビほか)。大阪のある小劇団を舞台に、本番を間近に控え稽古に励む主人公たちのもとに襲いかかる怪奇現象、そしてそれによって動きだす複雑な人間模様を描くオリジナル作品だ。

本作で主人公・山口麻依を演じるのは、生駒里奈さん。乃木坂46卒業後、連続ドラマ初主演となる生駒さんだが、今回は物語の鍵を握る麻依の姉・真理子も演じるという1人2役の挑戦も注目されている。7月24日の初回放送を前に、ここでは生駒さんのインタビューを前・後編でおくる。前編では、“ホラー作品”への挑戦について話を聞いた。

「OTHELLO」で意識したのは、“普通に演じること”

――まず、台本を読んでの感想を教えてください。

「撮影しながら感じているんですが、今回は怖さよりも劇団員同士の友情だったり、みんなが経験するであろう日常生活の人に対しての恐怖だったり、ちょっとした恋心や嫉妬だったり、そういったものがすごく濃く描かれているなという印象でした」

――鈴木さんの原作を元にした作品になりますが、意識したことや挑戦したことはありますか?

「原作もなんですが、全体的にこの作品の照明が暗いんです。明るいところが全くないから、自然と全部の雰囲気が暗くジメジメした感じで進んでいって。明るいシーンでもどこか憂いを帯びているような感じがあったので、あまりそれを出さずに普通に演じようというのは心掛けていましたね。でも、悲鳴のところに関しては、怖さというのを共感してもらえるように意識していました」

――ホラー作品で演じる時に心掛けていることを教えてください。

「ホラーってナチュラルなシーンもあるんですが、例えばお化けが出てきて、『キャー!』ってなるところも、『実際そういうシチュエーションがあった場合、どうなるのかな』と思ったり、『これは作り込んだ方が怖いかな』と思ったり、悲鳴の出し方も『この場面には何が合うんだろう?』というのは、以前よりも考えるようになりました」

――悲鳴が苦手という役者さんも多いですが、生駒さんはいかがですか?

「よくある女の子の『キャー!』というのは、私も苦手というか、ありきたりだなと思っていて。ほんとに怖いと思って出る悲鳴も出しますし、演出的に奇麗に悲鳴を上げた方がいいかなと思う時は、喉の位置を確認してここなら出せるかなみたいな、そうやって(声を)出してます」

――今回演じられる山口麻依について教えてください。

「読み解いていくと、亡くなったお姉さんの死に対してコンプレックスを抱いていて、それでも夢を追いかけてやり遂げようっていう責任感があって。純粋にお芝居がしたいという思いで一生懸命で、がむしゃらに頑張っている子だと思いますね」

――麻依に親近感のようなものを感じますか?

「私は悩んだりすることがあんまりなくなってきて、悩んでも自己解決するようになってきたんですが、麻依ちゃんは結構悩んで、くよくよしてあまり行動に移せなかったりするので、『そういうことしてないで、どんどん前に行きなよ…』って奮い立たせてあげたいなと思っちゃいます。私とはちょっと違う印象がありますね」

――共演者の皆さんの印象についても教えてください。

「劇団の皆さんは年齢も近い人たちが多くて和気あいあいとやっているんですが、窪塚愛流くんが最年少の18歳なんです。自分も若いはずなのに、初めての新成人の年齢っていうところに若さと時代を感じました(笑)。皆さんすごく人当たりのいい方で、 初日から『こうした方がいいんじゃないか?』と橋本じゅんさんを中心にアドバイスをくださって、それを聞き入れて、みんなでシーンを作っていて。最初の3日間が結構大変だったんですが、キャストの皆さんに救われたなって思うぐらい恵まれた環境でよかったなと思っています」

――生駒さんは映像作品のほかに舞台にもかなり出られていると思います。舞台と違う映像作品の楽しさについて教えてください。

「今までファンタジー系の舞台が多かったんですが、映像作品は日常生活を切り取ることが多いかなと思っていて。舞台でも『この人はどう歩くのかな』などを考えるんですが、映像の方が目で見てる画ではなくて、カメラを通して見せる画になるので、全然見え方が違ってくると思うんです。ある意味ごまかしようがあるというか、映像だからこそカメラで映ることによって違う画に変わって、それを視聴者の方が見て、『あ、面白いな』と思ってもらえるので、そういう見え方の違いが面白いなと思います」

――“見え方を考える”というのは、難しく感じることもありますか?

「難しいですね。でも須賀(健太)さんは『こうやって撮ったらこの画だな』みたいにやっていて、確かにそう考えると『ここから撮ったらどういう画になるんだろう』って想像するだけで、立ち位置だったり表情だったり、自分で自然に計算できるようになってくるんです。前は必死すぎてそこまで至らなかったんですが、ちょっとずつ 「あ、こう撮ってるからこうだな』のような勉強ができるので、楽しいです」

生駒が最近“恐怖を感じた出来事”とは?――「〇〇がホラーですよ(笑)」

――もともとホラー作品は得意な方だったのでしょうか?

「普段は見ないですね(笑)。テレビで心霊番組とかのCMが流れた瞬間に消します。家に1人でいると怖いじゃないですか。撮影だとどんなものを見ても平気なんですが、お化けが出てくると分かっていてもほかの作品は見られないです。昔からですが、お化け屋敷が大の苦手なので、プライベートでは怖いの一切NGです(笑)。今回も映画作品を参考にはしたんですが、友達と一緒に見ていても結局怖くなっちゃって…苦手ですね」

――自分の作品は見られますか?

「自分の(作品)は思い出があるのでチェックとして見るんですが、どんなに裏側を知っていても、ほかの作品は怖い。お化けが出そうで、お風呂に入れなくなっちゃうので…」

――そうだったんですね。見るのは苦手ということですが、いろいろなホラージャンルに出演してきた生駒さんが、ホラー作品全体に感じる魅力を教えてください。

「怖いだけでは終わらないところですね。お化けが見える人って、あんなに悲鳴を上げないと思うんです。心霊スポットに行く若者が『キャー!』ってなるのも、日常生活で切り取れば楽しいというか、怖い思いをしたけど、『この仲間と一緒に行ったことが楽しかった』に変換できる。日常生活の怖さって、意外と『楽しい』に変換できて、そこにホラー作品というものが加わって、ファンタジーになって「怖かったけどドキドキした」と一緒に怖さを共有して、感想を言い合ったりするのがホラーの魅力かなと思います」

――ホラーについてのお話を伺ってきましたが、最近生駒さんが恐怖を感じた出来事があれば教えてください。

「うーん…毎日朝から晩まで撮影していてもどこか元気っていう、自分の体調がホラーかもしれません。『なんで疲れないんだ』って(笑)。でもそれよりもっと怖いと思うことがあるんですよ」

――どんなことでしょう?

「映画でもドラマでも、作品を撮っている時って出演者よりスタッフさんの方が大変だと思うんです。私たちは撮ってないシーンでは休めますが、スタッフさんたちは毎朝早いし、1日が終わったと思ったらまた次の日が来て…っていう、スタッフさんたちの体力がホラーですよね(笑)」

明日公開予定の後編では、初主演作への意気込みや「俳優でやっていきたい」と話す生駒さんのこれからを紹介。さらに、先日サプライズで登場した乃木坂46のバースデーライブで感じた“グループの強み”と“確固たる自信”についてのお話も。お楽しみに!

【プロフィール】

生駒里奈(いこま りな)
1995年生まれ、秋田県由利本荘市出身。乃木坂46ではデビューシングルから5作連続でセンターを務め、2018年に同グループ卒業後は女優として舞台やテレビドラマ、映画などで活躍中。NHK Eテレ「ストレッチマン・ゴールド」にマイマイ役でレギュラー出演中。昨年には舞台「僕とメリーヴェルの7322個の愛」で初の一人芝居に挑戦。日本テレビ系ドラマ「真犯人フラグ」では謎の女・本木陽香役として出演し、その怪演が話題を呼んだ。22年9月より、東京・日生劇場で上演される舞台「夏の夜の夢」への出演も控えている。

【番組情報】

ドラマ+「OTHELLO」
ABCテレビ
7月24日スタート
日曜 深夜0:25〜0:55 ※初回は深夜0:50〜1:20
テレビ神奈川
7月26日スタート
火曜 午後11:00〜11:30

取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当) 撮影/蓮尾美智子

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