高校野球 グッドルーザーの夏 エースで4番、諦めない姿勢を示した清水遥翔(中津南3年)

全国高校野球選手権大分大会

3回戦 7月16日 別大興産スタジアム

大分商業 404 000 01|9

中津南 000 200 00|2(8回コールド)

「どんなに点を取られても投げ抜くと決めていた」。最後となった八回までマウンドに立った中津南のエース清水遥翔(3年)は、第2シードの大分商業を相手に一回と三回にそれぞれ4失点したが、気持ちが切れることはなかった。「四回以降は開き直り、力を抜いてキレで勝負した。強豪相手にいい試合ができたけど、打たれたので60点の出来」と汗を拭った。

高校に入学した最初の夏に、左膝脛骨骨折で10カ月間野球から遠ざかることもあったが、仲間が「明るく迎え入れてくれた」ことでリハビリに励むことができた。2年の夏は復帰直後でコンディションが上がらず不完全燃焼。万全の状態で臨んだ高校最後の夏は、初戦の安心院戦、2回戦の大分東戦でマウンドに立ち無失点に抑え、打っては4番打者として勝負強さを発揮。3回戦進出の原動力となった。「チームの中心なので、投手としては試合のテンポを作り、打者としてはチャンスで打てた。自分がやってきたことが発揮できた」と振り返った。

3試合に登板した清水遥翔

大分商業戦では失点しても不安な顔ひとつせず、冷静に投球を組み立てた。「仲間や監督に託されたマウンドだったので、打たれても投げ切ることだけを考えた」。中津緑ケ丘中からバッテリーを組む坂本恭汰(2年)に対し、「安心して投げることができた」とねぎらい、「中津南は守りのチームだが、野球は打てないと勝てない。守備力は継続して、打力を高めてほしい」とチームの再建を託した。

「これで一区切りできる。毎日の日常から野球がなくなるのは寂しいが、一切の悔いはない」と最後まで淡々と話したが、坂本から「ありがとうございました」と感謝の言葉を聞くと、少しだけ笑顔を見せた。

思いを後輩に託し高校野球を終えた

(七蔵司)

© オー!エス! OITA SPORTS