【相模原の区画整理百条委】元局長「判を押した覚えない」 一部の幹部らが推進か

大詰めを迎えている相模原市議会の百条委員会

 大量の産業廃棄物が見つかったことや、職員の不祥事などにより、3年近く中断した相模原市の「麻溝台・新磯野第1整備地区土地区画整理事業」を検証するため、市議会が設置した百条委員会が大詰めを迎えている。これまでの調査では、一部の市幹部らが事業を強引に推し進めたと推認される証言が多数出ている。百条委は25日に加山俊夫前市長の証人喚問を行い、意思決定過程の解明を進める。

 4月21日の証人喚問で、証言台に立った元都市建設局長は突如、発言した。

 「決裁文書に局長の判子(はんこ)が押されているが、私が判を押した覚えはない」

 議題となっていたのは、市が2016年9月に策定した「地中障害物等の取り扱い方針」だった。

 地中障害物は、事業を進める上で当初から一番の課題とされていた。そのため、市は同3月に大手ゼネコンの清水建設と「地山(じやま)に到達する約2メートルまでの地下調査を行う」とする契約を結んだ。

◆追加された文言

 しかし、契約から半年後に市が策定した同方針では、「地下2メートルまでを調査範囲とする」とする一方で、「地山が確認されない場合は地山が確認されるまで調査する」と文言を加えていた。地山が地下5メートルや10メートルとなる可能性もあり、そうなれば調査費の増大につながり、資金計画にも影響を及ぼす。

 なぜ、わずか半年で方針が変わったのか─。百条委は、当時の決裁権者だった元都市建設局長に方針策定の経緯を質問したが、元局長は「方針の中身について部下から明確な説明はなく、庁内で議論した事実もない」と答えた。

 これに対し、複数の市幹部は「局部長をすっ飛ばして物事が進められていた可能性がある」と口をそろえる。方針の策定に関する庁内会議の記録はなく、意思決定の詳細な経過を確認できる資料も残っていない。

 ある幹部は言う。

 「当時は『事業を早く進めろ』と盛んに言われていた。事業担当の事務所が局長に詳細な説明をせず『市長も副市長も承知している』『事業を早期に完了させるため』と言って決裁を取っていてもおかしくない」

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