生駒里奈が“今の乃木坂”から感じたこと「みんなが頑張ってることってすごいことだと思います」――「OTHELLO」インタビュー後編

生駒里奈さんが初の連続ドラマ主演を飾るドラマ「OTHELLO」(ABCテレビほか)。「リング」「らせん」といったジャパニーズホラーの名手・鈴木光司さんがおくる、新たなホラーサスペンスがいよいよ本日7月24日からスタートする。

昨日公開したインタビュー前編に続き、ここでは生駒さんのインタビュー後編をおくる。乃木坂46を卒業後に感じた自身の変化や舞台の魅力、さらに先日開催されたグループのバースデーライブで感じたことなど、たっぷりと話を聞いた。(前編はこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1661431/)

ドラマ初主演、挑戦の中にも「“主演”ということがパワーをくれている」

――生駒さんは今回「OTHELLO」で連続ドラマ初主演になりますね。

「実はあまり主演という自覚はなくて。映像のお仕事を去年から続けてやらせていただく機会があって、お芝居の技術でいうとまだまだ勉強中なので、家に帰ってドラマがついていたら、『どういうふうにしゃべっているんだろう』『どういう画を作っているんだろう』というように意識は変わってきています。たぶん、主演ということが自分にかせになって、パワーをくれているんです。毎日挑戦しながら参加させていただいているので、ありがたいなと思っています」

――主演が決まった時は、どのように感じられていたのでしょうか?

「主演というのが自分に巡ってくると思っていなかったので、『声をかけてくださったんだ、機会をいただけたんだ』っていうのは素直にうれしかったです。前の作品を撮っていてバタバタしていた時期に決まって、映像作品で次があるっていうのは今年初めてだったので、自分にとっても挑戦で、その中で主演っていう一番の挑戦だったので、頑張らなきゃいけないなと思っていました」

――YouTubeでも2022年の抱負として「お仕事の大半を芝居で埋められるように」と語っていましたが、それが少しずつ形になっているという点では手応えみたいなものもありますか?

「私は『主演だ! やった!』とはたぶん思うタイプではないので、手応えみたいなものはありませんが、作品が立て続けに入っているというのがうれしいので、今年はその第一歩がちゃんと踏み出せたので、よかったです」

「今後もプラスにしかならない」――卒業生・生駒が感じた乃木坂46の“強さ”

――今回演じられる麻依について、「私とは違う」とお話しされていましたが、自分で解決できる“余裕”というのはどのタイミングでできたのでしょうか?

「タイミングでいったらグループを卒業した22、23歳ぐらいですかね。それまではもういっぱいいっぱいだったので、1個かせを外すというか、自分の心の中の窮屈なものを外すだけで視界が広がって、そこから物事に対して全部俯瞰(ふかん)で見るようになったんです。一つの出来事にも、理由は一つだけではなくて10個ぐらいあると考え始めたら、相談せずとも自分のことは解決できるようになりましたね。人に相談するのって、意外と大変じゃないですか」

――聞きすぎると意見が渋滞してしまいますよね。

「訳が分からなくなっちゃうんです。だから、自分でも判断した上で、お母さんや信頼できる人に聞くようにしています。ダメって言われることもありますが、自分で決めたことって『それでいくんだな』と思われることでもあるので、『これでいいんだな』と思いながら仕事しています」

――ドラマが劇団の中のストーリーということで、生駒さんが所属されていた乃木坂46も、ドラマ制作も、“みんなで何かを作る”というのが大きな軸になってくると思います。そういったことの魅力について感じるものはありますか?

「今は1人で活動していますが、作品に入ったら毎回『みんなで頑張る!』なので、 それは(グループを)辞めた後も変わっていなくて。みんなで頑張るなら、その場の役割を完璧に私は担いたいと思っています」

――先日の乃木坂46の「10th YEAR BIRTHDAY LIVE」にもサプライズ出演されていましたが、グループに戻ってみてあらためて気づいたことはありましたか?

「もうアイドルはできないって思いました(笑)。気づいたことはそんなにないですが、みんなが頑張ってることってすごいんだなって思いましたね。卒業して少なからず『アイドルだから…』みたいなことを言われることがありましたが、卒業して外から見ていて、いざ乃木坂の内側に入ってみると『この子たちはすごいことをしている』と思うし、昔(自分が)それをできていたことにも、すごく自信が持てました。卒業してからどうなるんだろうって思っていましたが、今後もプラスにしかならないと思います。乃木坂の一期生でいられたことも誇りだし、今みんなが頑張ってくれていることも私にとってはプラスで、胸を張って『元乃木坂46です』と言えますね」

“作品で楽しませられる俳優になりたいと思っています”

――本作では舞台女優役ということで、卒業してから舞台を数多く経験されてきた生駒さんにも通ずるものがあるかと思います。今だからこそ感じる、舞台の魅力を教えてください。

「たくさんあるのですが、私が舞台を始めたきっかけをくれた劇団はとっても魅力的で、何より私の性格に合っているんです。練習して稽古して固めたものをお客さまに届ける、そういう作業がとても合っていて。映像では瞬発力や対応力、臨機応変さが求められるんですが、ベースには舞台で培った軸があるから、そこをプラスアルファで楽しめる芝居ができるというのが、私にとっては魅力です」

――「芝居はまだまだ勉強中」とおっしゃっていましたが、“今後こういった女優になりたい”といった目標などはありますか?

「舞台でも映像でも、見た人にその時間だけでも幸せになってほしいと思っています。日々の生活の中にきっとつらい思いもあれば、暇だなって思っていたり、楽しいなって思っている人もいる。だから、作品を見ている時間だけはそこに思いっきり集中して、喜怒哀楽を感じてもらいたいです。自分を応援してほしいというよりは、たまたま見かけた役者の中に私がいて、そこで楽しんでもらえたら格好いいかなと思っています」

――ふとした出会いや1シーンを大事にする感覚なんですね。

「テレビだったら、ふとした1シーンで、『あ、面白いじゃん』と思ってもらえたらうれしいし、舞台だったら『他の俳優さん推しだったけど、生駒ちゃんもいいな』と思ってもらえたらうれしいです。でも、“その作品が面白かった”で終わってほしいので、個人よりは作品で楽しませられる、それで人を幸せにできる俳優になりたいと思っています」

――最後に、視聴者の方へドラマの見どころとメッセージをお願いします。

「劇団として本番に向けて頑張っている中に、夏にぴったりなホラー要素も取り入れつつ、ホラー部分は“ひやっ”とすると思います。あとは、やっと世の中が回ってきて、仲間と共に過ごすっていう素晴らしさを再認識できる時期になってきたのかなと思っています。画面ににじみ出る劇団のワイワイ加減やキャストの仲の良さをご自身に投影しながら、私たちのことも自分の仲間だと思って日常を楽しんでいただけたらうれしいです」

【プロフィール】

生駒里奈(いこま りな)
1995年生まれ、秋田県由利本荘市出身。乃木坂46ではデビューシングルから5作連続でセンターを務め、2018年に同グループ卒業後は女優として舞台やテレビドラマ、映画などで活躍中。NHK Eテレ「ストレッチマン・ゴールド」にマイマイ役でレギュラー出演中。昨年には舞台「僕とメリーヴェルの7322個の愛」で初の一人芝居に挑戦。日本テレビ系ドラマ「真犯人フラグ」では謎の女・本木陽香役として出演し、その怪演が話題を呼んだ。22年9月より、東京・日生劇場で上演される舞台「夏の夜の夢」への出演も控えている。

【番組情報】

ドラマ+「OTHELLO」
ABCテレビ
7月24日スタート
日曜 深夜0:25〜0:55 ※初回は深夜0:50〜1:20
テレビ神奈川
7月26日スタート
火曜 午後11:00〜11:30

取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当) 撮影/蓮尾美智子

© 株式会社東京ニュース通信社