田畑耕さずに栽培 「環境に優しい農法」追求 茅ケ崎の八一農園 夏野菜が収穫シーズンに

不耕起栽培で収穫間近の長ナスを手にする衣川さん=茅ケ崎市芹沢

 田畑を耕さずに農作物の栽培に取り組む神奈川県茅ケ崎市の八一農園で、夏野菜が収穫のシーズンを迎えている。農園を運営し「不耕起栽培」と呼ばれる農法に挑戦する衣川晃さん(47)は「環境に優しい農業を実践することで、自分の後に続く新規就農者も増やしていきたい」と意気込んでいる。

 同市出身の衣川さんは、ミュージシャンとして活動しながら、飲食店の経営を手がけていた。5年ほど前、自らが日々食べていた食肉に対し疑問を持つようになった。「肉食を否定するわけではないが、食肉を生産するにも動物の命を奪い、環境に大きな負担をかけているのではないか」と。

 そこで、衣川さんは「自分で食べる物ぐらい自給自足を」と一念発起。1年ほど県内の有機栽培を推進する農場で研修を受けた後、2018年11月に就農を果たした。

 「不耕起栽培」は土壌を耕さないため、大規模な農機具を使わない。土壌の流出を防ぐことができるといった利点があるという。一方で、化学肥料に頼らないため、作物の収量が増えないなどの難しさもあり、不耕起栽培に取り組む農家はまだ少数派だ。

 衣川さんは、耕作放棄地だった場所でミニトマトやナス、キュウリなど常時10種類以上の野菜を育てている。作物の脇に生えた雑草は刈り倒し、土壌の保湿や富栄養化などに活用するなど「環境に優しい農法」を追求している。

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