国の重要文化財「丸岡城」近くにゲストハウスを開設した老舗料亭の挑戦 共有スペースからは天守…散策の拠点目指す、福井県坂井市

ゲストハウス「四方館」=福井県坂井市丸岡町本町1丁目の老舗料亭「ほんだ」
名物の炭火焼き魚などが入った朝食の和食膳

 福井県坂井市の丸岡城下で110年以上続く老舗料亭「ほんだ」(同市丸岡町本町1丁目)が、棟3階にゲストハウス「四方館(しほうかん)」を整備し、7月25日オープンした。共有スペースの窓からは、悠然と構える天守を望む。「丸岡城下のにぎわい復活につなげていければ」と、炭火焼き魚が味わえる豪華な和食膳を付け、散策の拠点としての活用を目指す。

 料亭ほんだは明治後期創業。丸岡城近くの新町通り商店街にあり、1、2階が宴会場、3階が結婚披露宴などに使われる洋間だが、需要減でここ十数年は客足が遠のいていた。

 建物を有効活用しようと、5代目の本田悦子さん(50)が「お城ファンが観光に来た時、丸岡城下で寝泊まりできる施設が必要。夜はゆっくりライトアップも楽しめる」と、約1年かけて改修した。

 ゲストハウスの延べ床面積は約160平方メートル。2人部屋が2室、4人部屋が2室、広い2人部屋1室の計5室を設けた。全部屋ベッドで浴室付き。受け付けは1階にあり、エレベーターも備えている。

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 料亭ほんだに隣接する食堂「炭魚ほんだ」では、炭火を使った名物の香ばしい焼き魚を提供している。このため宿泊者には、朝食にサバとシャケの焼き魚が味わえる豪華な和食膳が付くのが特長だ。釜炊きご飯をはじめ、桶に入ったしらすイクラ、だし巻き卵など6種の小鉢は写真映えする。洋食にも変更できる。

 一方、炭魚ほんだはランチ営業に加え、今春から「本町バル」として夜の営業も始めた。ゲストハウスオープンに合わせ、真空パックの焼き魚を扱う土産物屋もオープンさせる。

 坂井市は、2024年春の北陸新幹線県内開業を見据え、丸岡城を中心に周遊性の高いまちづくりを目指している。本田さんは「昔は商店街にも活気があったが、今は多くの店でシャッターが閉まっている。人が集まることで、ほかの出店にもつなげ、若い人も来たくなる城下町にしていけたら」と話している。

 料金は平日が7700~9900円、金~日曜と祝日(前日を含む)が9900~1万4300円。いずれも税込み、朝食付き。問い合わせは四方館=電話0776(60)1414。

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