欧州の量子コンピューティングのリーダー企業IQMが、気候危機との闘いに貢献するためにワールド・ファンドが率いるラウンドで1億2800万ユーロを調達

IQMは調達資金を国際事業の拡大と製品開発の加速に使用し、気候危機への対処に貢献する量子プロセッサーの開発に注力

  • IQMは欧州全域のHPCセンター、研究機関、企業向けに超伝導量子コンピューターを構築する欧州有数の新興企業
  • 量子コンピューターは将来、創薬から金融市場の予測まで、複雑な問題を従来のコンピューターよりも高速に解決する上で役立つ可能性を秘める
  • 本ラウンドの完了で、欧州の量子コンピューティング企業として最大の資金を確保

フィンランド・エスポー--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 超伝導量子コンピューターの構築で欧州をリードするIQMクオンタム・コンピューターズ(IQM)は本日、ワールド・ファンドが主導するシリーズA2資金調達で1億2800万ユーロ(1億2800万ドル)を調達したと発表しました。当社の国際事業を拡大し、世界の喫緊の問題に対処する製品開発を加速させることが目的です。この資金調達は、2020年に発表されたシリーズA1の3900万ユーロ(3900万ドル)に続くものです。また、今年に入って発表された欧州投資銀行(EIB)からの3500万ユーロ(3500万ドル)のベンチャー融資の一部が含まれ、欧州の量子コンピューター企業が行った最大の資金調達ラウンドとなります。本ラウンドには、バイエルン・キャピタル、EICファンド、OurCrowd、QCI SPV、トフィーノ、Varmaのほか、既存投資家のMaki.vc、マタデロQED、MIGファンズ、OpenOcean、サルヴィア、サント・ベンチャー・キャピタル、テンセント、テシ、Vsquaredが参加しました。

コンピューティングの未来のための量子ハードウエアのパイオニア

2018年の設立以来、IQMは最も急速に成長する量子コンピューター企業となり、超伝導量子コンピューターの構築における欧州リーダーとして強固な地位を確立しました。またIQMは、すでにフルスタックの量子システムを提供している欧州唯一の企業です。BCGによると、この技術は規模を拡大し、その精度と安定性を改善することで、今後15~30年間に世界で8500億ドルの価値を創出できる可能性を秘めています。どのようなスーパーコンピューターよりも極めて高度で、非常に強化された精密な計算能力の実現技術として、創薬の改善、暗号化とデータ保護の変革、金融システムの予測などが可能になると期待されています。例えば、スーパーコンピューターなら解決に1万年要する問題が、量子コンピューターならわずか4分で解決できることがあります

欧州最大の世界クラスの量子専門家チームを擁するIQMのオンプレミス型の量子コンピューターは、研究所やスーパー・コンピューティング・センターが医療、金融、物流、化学などの難題を解決するために使用しています。当社の革新的な共同設計戦略により、産業分野の顧客もIQMと密接に連携し、特定アプリケーション向けプロセッサーに基づいた量子の優位性を実現しています。

気候危機への対処に貢献できる量子の画期的な可能性

IQMはその設立以来、人類の幸福のために技術を活用することを使命としており、それは気候危機への取り組みにも及んでいます。2050年までに地球温暖化を1.5度に抑えるという世界各国の政府やグローバル企業による試みは不十分であり、地球に実際に変化をもたらす解決策を発見するには思い切った行動が必要であることが、ますます明確になっています。量子コンピューティングは、現在の計算能力レベルでは達成できなかった解決策のモデル化が可能な技術であるため、将来、気候問題の解決策を見つける上で不可欠になる可能性があります。マッキンゼーの予測では、量子コンピューティングを使って開発した気候変動対策技術は、2035年までに二酸化炭素の排出量を年間7ギガトン削減できます。これには、電力や燃料の脱炭素化、産業運営の再構築、食料や林業の改革に対する支援が含まれます。

この新たな投資により、IQMは量子コンピューター・プロセッサーの共同設計にもリソースを投じ、気候危機に取り組むソリューションを提供して世界中の人々の生活を向上させる持続可能な開発を推進できるようにします。IQMの量子コンピューターによって計算能力が飛躍的に向上するため、その技術は、電力網の最適化や気候のモデリングなどの分野で、革新を実現できる可能性があります。当社はすでに、大手自動車メーカーと共同で、より優れたバッテリー・ソリューションを開発する斬新なアプローチを探っているほか、新材料設計のための画期的手法や、気候変動問題の取り組みで利用できる量子アルゴリズムを模索しています。これはIQMの気候目標の始まりにすぎません。ワールド・ファンドは、2040年までに大気から年間1億トンの炭素を取り除くことができる気候性能ポテンシャル(CPP)を持つ技術にのみ投資しています。当ファンドのCPP計算によると、IQMの技術はバッテリー性能と導入されるユースケースだけで、このしきい値を超える可能性があることを示しています。

量子の10年

今から10年間は、政府や組織が量子の未来に備えるための投資を行うことで、量子技術の10年になると予測されています。IQMはすでにアトス、VTT、インフィニオンなどの組織と提携し、この変革的技術を活用したソリューションを開発しています。この取り組みを続けるために、調達した新たな資金は、当社の国際事業運営を拡大し、研究を加速させ、先駆的に新製品を開発するために活用します。

IQMクオンタム・コンピューターズ会長のシエルク・ポエッティング博士は、次のように述べています。「この資金調達ラウンドは、当社が最近達成した技術的成果を評価した重要な節目であり、IQMの開発努力を加速させることに貢献するでしょう。既存投資家の継続的な参加をありがたく感じています。また、この強力なシンジケートに加わる新たな投資家を歓迎いたします。」

IQMクオンタム・コンピューターズの最高経営責任者(CEO)で共同創立者のジャン・ゲッツ博士は、次のように述べています。「今回の資金調達は、人類の幸福のために量子コンピューターを構築するという当社の使命の重要性を明確に示しています。また、当社の事業モデルに対する信頼と、量子技術の未来を築く当社チームの能力に対する継続的な信頼を実証しています。今後も、製品とビジネスに関するマイルストーンをすべて達成し、世界クラスの量子コンピューターをお客さまに提供できると確信しています。」

ワールド・ファンドの創立パートナーのダリア・サハロバ氏は、次のように述べています。「量子コンピューティングは、気候危機を解決するために必要なブレークスルーを後押しできる可能性があります。我々はこのラウンドを主導し、気候と持続可能性の目標に量子的優位性をもたらすというIQMの大望を支援できることを誇りに思います。この投資は、2040年までに当社のポートフォリオを通じて年間2ギガトン(全世界の排出量の4%相当)の排出を削減すべく、最も高い気候性能ポテンシャル(CPP)を持つ企業だけを支援するという我々のコミットメントと合致しています。高性能コンピューティング・センターと国立量子研究所に焦点を当てたオンプレミス型の強固なビジネスモデルで、入念に一貫してIQMを築いてきたIQMの素晴らしいチームと創立者を支援できることは、大きな喜びです。世界的なリーダーシップを目指す同社の成長段階の一翼を担うことを楽しみにしています。」

以上

IQMクオンタム・コンピューターズについて:

IQMは、量子コンピューターの構築における汎欧州のリーダーです。IQMは、オンプレミス型の量子コンピューターをスーパーコンピューティング・データセンターや研究施設に提供し、当社ハードウエアへの完全なアクセスを提供します。産業分野の顧客には、独自の特定アプリケーション向け協調設計の手法を通じて、量子の優位性をもたらします。IQMは、フィンランド初の54量子ビット量子コンピューターをVTTと共同で構築しています。また、IQMが率いるコンソーシアム(Q-Exa)がドイツで量子コンピューターを構築しています。このコンピューターはHPCスーパーコンピューターに組み込まれ、将来の科学研究用量子アクセラレーターを作り出そうとしています。IQMは、180人以上の従業員を擁し、パリ、マドリード、ミュンヘン、エスポーにオフィスを置いています。

ワールド・ファンドについて

ワールド・ファンドは、欧州に重点を置く最大の気候変動ベンチャー・キャピタルであり、ダリア・サハロバ、Danijel Višević、クレイグ・ダグラス、ティム・シューマッハーによって設立されました。エネルギー、食料、農業、土地利用から、建築資材、製造、輸送まで、ワールド・ファンドはCO2e排出量を少なくとも年間1億トン以上削減できる気候性能ポテンシャル(CPP)を持つ欧州の気候技術に投資しています。私たちの経済は脱炭素化が必要なため、このようなCPPを持つ新興企業は今後10年間に最も価値ある企業の一部となるでしょう。

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