【サル痘】国内の感染者、初確認 都内の30代男性

 厚生労働省は25日、欧米を中心に感染が広がり、先日WHO(世界保健機関)が公衆衛生上の緊急事態を宣言した「サル痘」について、国内で初めて感染者が確認されたと発表した。

30代の渡航歴のある男性に感染判明

 厚生労働省が25日夜に会見で明らかにしたところによると、感染が判明したのは、東京都内の30代男性。国籍は明らかにしていない。先月下旬にヨーロッパへ渡航し、今月中旬に入国したとしている。15日頃より発疹、発熱、倦怠感といった症状があらわれ、25日に医療機関を受診し、検査の結果サル痘ウイルスの感染が判明した。現在は都内の病院に入院しており容体は安定しているという。渡航先で感染者と接触があったことも分かっており、現在国内で濃厚接触者がいるか調査している。

サル痘とは?

 サル痘は、かつて世界で猛威を振るった天然痘の系統に属するウイルスだが、基本的には天然痘ほどの毒性はない。以前からアフリカの一部の国やアメリカで幾度か流行しており、アフリカでは死者は出たものの、これまで欧米で死者が出たことはない。

 症状としては、発熱の後全身に独特の発疹が多数現れるのが一番の特徴。全身でない場合もあり、その時は下半身のみという症例もある。発疹前後に激しい痛みがともなう場合もあるという。

 感染力は強くなく、体液や飛沫を直接浴びたり接触することで感染することがほとんど。感染者を隔離し、周囲を消毒するなど適切な処置を行えば感染することはあまり考えられない。欧米ではこれまで、男性同士での性交が原因と推認される事例が多数報告されているが、感染の可能性としては誰でも感染する可能性のあるウイルスだ。

 サル痘の特効薬は開発されていないが、アメリカや欧米で天然痘治療薬が応用できるとの研究報告が複数ある。また日本では特定臨床研究の枠組みで、全国で指定された4つの医療機関で投与を受けることができる。

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