国際ドラフトは導入されず 選手会が「最終オファー」の拒否を発表

ロックアウトを引き起こした労使交渉のなかで唯一、結論が先延ばしにされていた国際ドラフトに関する交渉が終結した。日本時間7月26日、メジャーリーグ選手会は国際ドラフトの導入に関するメジャーリーグ機構からの「最終オファー」を拒否したことを発表。選手会はその声明文のなかで「我々が公平な取引であると考えるには程遠いものだった」とメジャーリーグ機構側の対応を批判した。これにより、国際ドラフトの導入と引き換えに廃止される予定だったクオリファイング・オファーの制度は存続することになる。

ドラフトの対象とならない海外のアマチュア選手の獲得制度は、長年にわたって労使交渉の重要なテーマの1つとなっていた。今回の労使交渉でも議論が行われ、機構側が国際ドラフトの導入を希望する一方で、選手会はそれを拒否。ロックアウトを終了させることを最優先とするために、国際ドラフトの導入に関する結論は先延ばしにされ、日本時間7月26日が交渉期限となっていたが、合意に至ることはできなかった。

機構側の最終オファーは、国際ドラフトを20巡目まで実施し、指名された選手と契約するためのボーナスプールとして1億9100万ドルを用意するというものだった。「この金額でも現行の制度から2000万ドル以上の増額になる」と機構側は主張したが、選手会は2億6000万ドルを希望。「海外のトップクラスのアマチュア選手に与えられる契約金は国内の選手と比べると不十分であり、ドラフトによって最初に契約するチームを選べなくなるリスクにも見合っていない」と機構側からのオファーを一蹴した。また、国際ドラフトから漏れた選手の契約金についても、機構側は2万ドル、選手会は4万ドルを希望するなど、隔たりがあったようだ。

機構側が国際ドラフトの導入を熱望している以上、国際ドラフトに関する議論は今回で終了ということにはならないだろう。クオリファイング・オファー制度の廃止という誘惑に選手会は乗ってこなかったが、機構側は今後も様々な条件をオファーしながら国際ドラフトの導入を目指していくはずだ。

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