「世界の宝」守り継ぐ 奄美に世界遺産センター開館 遺産登録1年

奄美大島の森林を再現した世界遺産センターの展示室=奄美市住用

 「奄美・沖縄」世界自然遺産登録から1年の26日、情報発信などの拠点施設となる環境省「奄美大島世界遺産センター」(鹿児島県奄美市住用)がオープンした。開館と遺産登録1周年を記念した式典があり、住民や関係者が「世界の宝」を守り継ぐ決意を新たにした。

 式典で同省の中川康洋政務官は「関係機関と一体となって環境保全に取り組む」とあいさつ。塩田康一知事は「施設を活用し、保全と観光利用が適切に行われることを願う」と話した。行政関係者のテープカットや地元住民のくす玉割りなどで祝った。

 センターはカヌー体験ができるマングローブパークに隣接。近くには、国指定特別天然記念物アマミノクロウサギを夜間観察できる市道三太郎線、新たな観光スポットとして検討が進む役勝エコロードがあり、一体的な活用が期待される。

 館内の展示室ではシイの林や渓流など島の森林環境を模型や映像で再現し、クロウサギなど動植物135種を剥製などで紹介。森林散策を疑似体験できる。

 新型コロナウイルス禍の3度目の夏を迎え、奄美の入り込み客は回復傾向にある。観光客の人気が金作原国有林に集中し、生態系への影響が懸念される。動植物の島外持ち出しやノネコなど外来種対策、希少種の交通事故死といった課題も山積している。

奄美大島世界遺産センター
世界自然遺産センターのオープンを祝う関係者=奄美市住用

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