八十里越開通へ向け、新潟県三条市、福島県只見町、南会津町が観光に関するセミナーを開催

八十里越街道(国道289号)の開通を見据え、沿線の新潟県三条市、福島県只見町、南会津町は共催で、各地域の事業者を対象とした「八十里越街道観光セミナー」を開催した。3市町の関係者や北陸信越運輸局の職員など53人が参加し、今後の地域の観光のポテンシャルについて話し合った。

八十里越は2026年ころの開通を目指して工事が進められており、交通利便性の向上と同時に観光面での変化も期待される。沿線の3市町はこれまでにも、開通に先立ち懇談会やコラボ商品の開発などを行なってきた。今回は「選ばれつづける地域を目指すための観光のあり方」をテーマに、観光専門家による講演と、パネルディスカッションを実施した。

三条市で行われたセミナーの前半、越後・南会津街道観光・地域づくり円卓会議の座長も務める山田桂一郎氏が講演。山田氏は講演の中で「観光に関しては、この八十里越というテーマをもとに新しい市場ができる。日本中で様々な観光地域振興をしているが、新しいテーマ性でその地域を捉えることができる事例がどれだけあるか。『沖縄』を違うテーマで捉えることはできないが、(会場に集まった沿線地元の)皆さんは、八十里越で新しい市場を創造できる。一過性ではなく、中長期に渡ってこの地域の本質的な価値を提供できる」と熱弁した。

また山田氏は、欧州の事例なども紹介しつつ、高付加価値化の戦略と少数の上客やリピーターを獲得する戦略を語り「顧客ロイヤルティを上げるためには、地域住民のロイヤルティを上げなければならない」とも語った。

山田桂一郎氏

セミナーの後半では、国土交通省大臣官房総括審議官の加藤進氏、福顔酒造株式会社(新潟県三条市)の小林章氏、道の駅「漢学の里しただ」(同)前駅長の佐野英憲氏、合同会社ねっか(福島県只見町)の脇坂斉弘氏が登壇したほか、参加者からも雇用の拡大についてなどの質問が挙がった。

セミナーの終わりに滝沢亮市長は「この街、八十里越、沿線の市町がつながった時の価値というものを、深掘りする良いきっかけとなった」と話した。三条市によると同セミナーは第1回目として位置付けており、今後も2回目、3回目を開催していきたいという。

三条市の滝沢亮市長

パネルディスカッションの様子

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