ポルシェがレッドブルのF1部門の株式50パーセントを取得へ。反トラスト機関に共同事業計画を提出

 ポルシェがレッドブル・レーシングと提携してF1に参戦することを検討していると長く推測されてきたが、より具体的な情報が浮上した。同社がレッドブル社のF1部門の株式50パーセントを取得して2026年からF1に参入する予定であることが、独占禁止法規制当局に対して提出された書類によって明らかになった。

 2026年のF1パワーユニット(PU/エンジン)規則変更に伴い、フォルクスワーゲングループのポルシェとアウディはF1に参入する計画を立てている。ポルシェはレッドブルと提携、アウディは既存チームの買収を望んでいると伝えられているが、いずれも正式な発表は行われていない。

 しかしポルシェはレッドブルとのパートナーシップ締結に必要な行政手続きとして、EUおよび世界各国の反トラスト機関に、レッドブルとの共同事業およびその計画を説明する趣意書などの書類を提出したことが分かった。

レッドブル・レーシングのファクトリー

 ドイツのウェブサイト『Motorsport-Total』は7月27日、ポルシェがモロッコの競争評議会に提出し、当局が公開した関連書類の内容を報じた。

 7月8日に提出された趣意書には、ポルシェとレッドブル・レーシングを運営するエナジードリンク会社レッドブルGmbHが合弁事業を立ち上げて、レッドブルGmbHの子会社でF1シャシーの開発・製造を行うレッドブル・テクノロジーLtdのためのパワーユニットを開発・製造すること、ポルシェはレッドブル・テクノロジーLtdの株式50パーセントを取得する意向であることが示されている。

 ポルシェとレッドブルが開発するパワーユニットは、通常の供給契約により、姉妹チームであるスクーデリア・アルファタウリに供給されるものと予想されている。

 この提携は、レッドブルのホームグランプリであるオーストリアGPの週末に行われるものと考えられていたが、2026年パワーユニットレギュレーションの確定が遅れていることで、延期されたといわれる。次世代パワーユニットのレギュレーションは、8月初めにも承認されるとみられ、その後、ポルシェとレッドブルの提携が正式に発表されることになるだろう。

 レッドブル・レーシングは2021年までホンダのパワーユニットを使用していたが、ホンダは昨年末でF1活動を終了することを決めた。そのためレッドブルは将来的に自社製のパワーユニットを開発・製造する目的で、パワーユニット部門レッドブル・パワートレインズを立ち上げた。F1パワーユニットの開発は2025年末まで凍結されるため、レッドブルはその間、ホンダが開発したパワーユニットを使い続ける計画で、現在、製造・サポートはHRCが担当している。

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