佐世保周遊観光バス「海風」 8月末に定期運行終了 募集型へリニューアル

定期運行を取りやめ募集型にリニューアルする「SASEBOクルーズバス海風」(佐世保観光コンベンション協会提供)

 長崎県佐世保市内を周遊する観光バス「SASEBOクルーズバス海風」が8月末で定期運行を終える。新型コロナウイルスの感染拡大や旅行形態の多様化などが響いた。約70年間、同市で続いた定期観光バスの形態を廃止し、募集型にリニューアルする。
 同市での定期観光バスの歴史は長く、九十九島が国立公園に指定される前年の1954年にスタートした。大人数で移動しながら観光スポットを手軽に見ることができると好評だったが、時代とともに自家用車が普及し、移動手段や旅行形態が多様化。「必ずしも観光バスが選ばれる時代ではなくなった」(市観光課)という。
 市によると、市交通局から2015年に実施主体を引き継ぎ運行を始めた佐世保観光コンベンション協会は、コースを増やすなど試行錯誤しながらニーズに対応。18、19年の年間乗車数は約7千人で、市交通局時代の約4倍に増えた。だが、その後に発生した新型コロナの影響で20年は約1800人にとどまり、現状での運行を終了することにした。
 今後は市内のバス会社にバスを譲渡し、募集型のツアーに変更する予定。合わせて、佐世保観光マイスターのガイド付きのタクシーで観光地を巡るプランを充実させるなど、佐世保観光の選択肢を増やしていく。同協会は「シーズンに合わせて西九州させぼ広域都市圏の市町を巡るツアーを企画できるようになり、より市町の魅力を伝えられるのでは」と期待を込めた。


© 株式会社長崎新聞社