巨大原油貯蔵船 新上五島を出発 定期点検で、3日かけ三菱香焼ドックへ

新上五島町青方港沖の上五島国家石油備蓄基地の巨大な原油貯蔵船5隻のうち「上五島二号」が27日、定期点検のドック入りのため長崎港に向かった。えい航船に引かれ、29日に長崎市香焼町の三菱造船香焼修繕ドックに到着する予定=新上五島町青方港

 新上五島町青方港沖の上五島国家石油備蓄基地の貯蔵船5隻のうち「上五島二号」が27日、定期点検のドック入りのため長崎港に向かった。3日かけて長崎市香焼町の三菱造船香焼修繕ドックにえい航される。
 同基地は5隻の貯蔵船に国内消費量の約10日分に当たる約342万キロリットルの原油を貯蔵している。貯蔵船はいずれも長さ約400メートル、幅約100メートル、高さ約30メートルの巨大な直方体で、1隻約90万キロリットルの容量がある。
 ドック入りは国が定める船舶安全法により、5年ごとに代表船方式で検査を受けている。上五島二号は昨年夏から貯蔵油を他の貯蔵船に移し始め、タンクを空にして清掃や準備を整え、出港を待っていた。
 貯蔵船に動力はなく、6隻のえい航船で引き、周囲には安全確保に当たる6隻の警戒船を配備。えい航作業は午前10時に始まり、青方港外に出るまで約2時間かかった。船団は長さ千メートル以上、幅400メートル以上と大掛かり。上五島二号は夏の日差しにきらめきながら青方港外へ出て行った。
 同町船崎郷の丘で眺めていた安永健男(たてお)さん(77)=同町青方郷=は「以前のドック入りのときは、親戚の船に乗り海上で見学した。貯蔵船の高さに驚いたのを覚えている。ロシアのウクライナ侵攻で石油やガスの供給に支障が出ている今、備蓄の大切さを改めて考えながら眺めた」と話した。
 同基地を運転管理する上五島石油備蓄上五島事業所によると、長崎港には29日午前7時半ごろ到着予定。検査後の10月5日に長崎港を出て、上五島に同7日に到着する予定。


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