世界屈指の資金力を背景に多くのスター選手を補強してきた近年のマンチェスター・ユナイテッド。
逆に彼らが最も高額な移籍金で売却した選手は誰なのかを調べてみた。
10位 ダニー・ウェルベック
2014年夏、アーセナルに売却
移籍金:2000万ユーロ(現レートで27億円)
地元マンチェスター出身の生え抜きとして期待されていたFW。
ラダメル・ファルカオやアンヘル・ディマリアの加入を受け、23歳で移籍を決断した。同じくアカデミー出身者のデイヴィッド・ベッカムが退団を悲しがったことも話題に。
実はトッテナム移籍が決まりかけていたが、その寸前でアーセン・ヴェンゲル監督が口説き落とした。当時、ヴェンゲル監督はローマ教皇に謁見するところだったが、そのために早起きをしたことでウェルベックを説得できたとか。
なお、現在は三笘薫と同じブライトンに所属している。
9位 フアン・セバスティアン・ベロン
2004年夏 チェルシーに売却
移籍金:2180万ユーロ(30億円)
“ラ・ブルヒータ(小さな魔法使い)”との異名で呼ばれたアルゼンチン代表MF。
当時の英国史上最高額でユナイテッドに引き抜かれるも、わずか2年後にチェルシーへ移籍していった。
後年、ユナイテッドに残るべきだったとして、移籍を後悔していると告白。小さな街の出身なので大都市ロンドンでの暮らしは難しかったそう。
8位 モルガン・シュナイデルラン
2017年1月 エヴァートンに売却
移籍金:2300万ユーロ(32億円)
サウサンプトン時代に吉田麻也ともプレーした元フランス代表MF。
圧巻のロングフィードを含めた長短のパス使いと確かな守備力を兼ね備えたプレミア屈指のセンターハーフに成長すると、ユナイテッドに3500万ユーロ(48億円)で引き抜かれた。
だが、ジョゼ・モウリーニョのもとで序列が降下すると、わずか18カ月で退団。
後年、もっとレギュラー争いで戦うべきだったと早期退団を後悔していると述べている。
7位 ヤープ・スタム
2001年 ラツィオに売却
移籍金:2575万ユーロ(35億円)
一時は世界最高峰の守備者に君臨した元オランダ代表DF。
サイボーグのような肉体にスキンヘッドというルックスで相手FWを震え上がらせた一方、サイドバックをこなせるほどのスピードと足元も備えていた。
ユナイテッドでは3冠達成に貢献するなど大きな活躍を見せていたが、2001年に発表した自叙伝を機にファーガソン監督との確執が生まれて退団。
後年、ファギーはラツィオからのオファーは金銭的に断れないものだったとしつつ、プレー面では彼を放出したのは間違いだったと後悔したことを明かしている。その後、2人は和解している。
6位 ダニエル・ジェームズ
2021年 リーズに売却
移籍金:2910万ユーロ(40億円)
驚異的な快足で知られるウェールズ代表のスピードスター。
2019年にユナイテッドに引き抜かれると、デビューからわずか7分で初ゴールを決め、一躍時の人になった。そのスピードはチーム最速クラスだったが、2年目からは存在感が希薄になり、2年で退団。
退団後、安全でスローなプレーに終始するようになり、相手に脅威を与えるプレーができなくなっていたと話している。
5位 ヘンリフ・ムヒタリャン
2018年1月 アーセナルに売却
移籍金:3400万ユーロ(47億円)
ドルトムントで活躍を見せると、ユナイテッドが4200万ユーロ(58億円)で引き抜いたアルメニア人MF。
ただ、期待されたほどの活躍は見せられず、アレクシス・サンチェスとのトレードのような形でアーセナルへ移籍した。
同僚だったウェイン・ルーニーは、練習では良さを見せていたとしつつ、ドルトムント時代のような自由がないことで苦しんだのかもしれないと指摘。
ただ、アーセナルでも不発に終わり、本人はイングランドのサッカー自体に合わなかったと話している。
4位 デイヴィッド・ベッカム
2003年夏 レアル・マドリーに売却
移籍金:3750万ユーロ(52億円)
稀代のイケメン選手として日本でも大人気になったイングランド代表MF。
移籍先のレアルはロナウジーニョも獲得できるチャンスがあったが、ベッカムを選んだ。
ただ、実はバルセロナ行きの可能性もあった。実際、ユナイテッドが「ベッカムとバルサは個人合意に達した」と発表してしまった。
しかし、ベッカム側はこの発表を完全否定して激怒。当時のバルサは前年6位とCL出場権を失っており、最終的にレアルへ移籍した。
3位 アンヘル・ディマリア
2015年夏 PSGに売却
移籍金:6300万ユーロ(87億円)
2014年に7500万ユーロ(104億円)の移籍金でレアル・マドリーから加入した際には伝統の7番を託されるなど大きな期待が寄せられた。
だが、それほどの活躍が見せられなかったこともあり、わずか1年で退団することに…。
後に、PSGのチームメイトが「彼はユナイテッドを嫌っている。あそこでのいい記憶がない。実際、テレビにユナイテッドに関係する何かが映ると、すぐに(チャンネルを)変えるんだ」と暴露。
また、ディマリアの妻が「(マンチェスターの)全てが嫌いだった。人々はみんな痩せていて、おかしかった。食べ物もクソ。女性はみんな人形のような化粧をしていた」などと酷評したことも話題になった。
2位 ロメル・ルカク
2019年夏 インテルに売却
移籍金:7400万ユーロ(102億円)
191cmの巨漢ながら、スピードも兼ね備えるモンスターFW。
2017年、ユナイテッドは最大で9000万ポンド(147億円)にもなる莫大な移籍金でエヴァートンから引き抜いた。
ただ、批判を浴びることが多くなると肥満騒動や漏洩ツイート削除などクラブとの関係が悪化。結局はわずか2年で退団することに。
1位 クリスティアーノ・ロナウド
2009年夏 レアル・マドリーに売却
移籍金:9400万ユーロ(130億円)
弱冠18歳でユナイテッドに引き抜かれると、瞬く間にスターになったロナウド。
大エースとなったが、レアルへの移籍を志願すると、1年越しでそれを叶えた。
当時監督だったサー・アレックス・ファーガソン氏は「ラモン・カルデロン(2006~2009年までレアル会長)は会長選の武器としてクリスティアーノを利用した。あの子はレアルに移籍したがっていたが、『今年はダメだ。あいつに君を売るくらいなら、君を撃ったほうがましだ』と伝えた。2009年にフロレンティーノ・ペレスが会長になると、移籍がやりやすくなった」と後年に明かしている。