紅茶を飲むと、つい甘いお菓子も食べたくなりますよね。
香ばしい紅茶を飲みながら、ケーキやクッキーを味わうのは至福のひとときです。
T’s CLOVER(ティーズクローバー)では、どのようなお菓子が紅茶に合うかを突き詰めて、スコーンという答えを導きました。
100種類以上の紅茶と、30種類以上のスコーンを取り扱うT’s CLOVERは、紅茶とスコーンの専門店。
ネットショップでの販売とマルシェイベントでの移動販売で、豊富な種類の紅茶とスコーンを提供しています。
T’s CLOVERが紅茶やスコーンの専門店として活躍するに至った背景について、代表の柴田知央(しばた ともひさ)さんに話を聞いてきました。
インターネットとマルシェイベントで人気を博しているT’s CLOVERについて紹介します。
T’s CLOVERの紹介
T’s CLOVERは、倉敷市水島に事業所を置く、紅茶とスコーンの専門店です。
T’s CLOVERの特徴を紹介していきます。
T’s CLOVERはどんなお店?
T’s CLOVERでは、ネットショップを中心に、100種類以上の紅茶と30種類以上のスコーンを販売しています。
豊富な種類の紅茶とスコーンが、T’s CLOVERの魅力です。
岡山県内で行われるマルシェイベントにも出店し、キッチンカーでも紅茶とスコーンを販売。
イベントのたびに行列ができるほどの人気を集めています。
楽天スイーツ&紅茶ランキングで1位となったこともあるそうです。
倉敷市水島の事業所にある店舗は、予約した人だけが利用できるサロンです。
時間をかけて紅茶とスコーンを楽しむことができます。
T’s CLOVERの商品
T’s CLOVERでは、インド紅茶、セイロン紅茶など、世界の紅茶の産地から茶葉を仕入れて販売しています。
また、フレーバーを使ったオリジナル紅茶を手掛けているのもT’s CLOVERの特徴です。
そして、紅茶にぴったりのスコーンも、30種類以上用意しています。
商品はT’s CLOVERのネットショップで見られるので、気になる人は確認してみましょう。
T’s CLOVERの紅茶とスコーンを食べてみました!
筆者が水島にあるT’s CLOVERのサロンを訪ねて、紅茶とスコーンを楽しんできました。
専門店が提供する紅茶とスコーンの一部を紹介します!
ティーソーダ
紅茶専門店ということで、香り高い紅茶を用意してくれるだろうと想像していたのですが、初めて見るスタイルの紅茶を目にして驚きました。
▼紅茶と特製シロップを炭酸水で割ったベルガモットハニーレモネードです。
紅茶を炭酸水で割った飲み物はティーソーダと呼ばれています。
ティーソーダを口にするのは初めての経験だったので、味をまったく想像できず、どのような味がするのかドキドキしながら口に運びました。
紅茶の渋みはなく、紅茶の香りからくる優しい味と、炭酸のさわやかな味が口の中に広がります。
紅茶とシロップ、炭酸水のグラデーションも美しく、目でも楽しませてくれる飲み物です。
紅茶の新しい楽しみ方を知ることができました。
ティーソーダは、マルシェイベントに出店しているキッチンカーで飲むことができます。
あんバタースコーン
次に味わったのは、T’s CLOVERの人気商品のあんバタースコーン。
▼あんバタースコーンと一括りにしていますが、種類は豊富。
写真の左から、さつまいもあん、小倉あん(抹茶)、和栗あん、黒ごまあん、小倉あん(プレーン)。
どれを食べようか悩みましたが、筆者は基本的な味である小倉あん(プレーン)を選びました。
手でつかみ取れる大きさなので一口で食べられると思いきや、半分ほどを口にするのがやっとです。
甘いあんとスコーンの重みのある食感が口の中いっぱいに広がり、濃厚な味を楽しめました。
あんバタースコーンも、マルシェイベントに出店しているキッチンカーで提供されています。
T’s CLOVERの代表 柴田知央さんにインタビュー
代表の柴田知央さんに、T’s CLOVERのこれまでの事業について聞いてきました。
紅茶とスコーンの専門店として活躍するに至った背景について深掘りしていきます。
紅茶とスコーンのお店の始まり
──紅茶とスコーンのお店を始めた理由は?
柴田(敬称略)──
カフェをやることが妻の夢でした。
そこで、2008年2月に倉敷市船倉町の店舗を購入して、カフェを始めたんです。
私も、妻も紅茶が好きだったので、お客さんに紅茶を楽しんでもらうためのお菓子を考えました。
そのときに思いついたのがスコーンです。
最初はスコーンの種類は豊富ではなく、数種類のスコーンからスタートしました。
──ネットショップを始めた理由は?
柴田──
カフェは数年間継続できるビジネスだと思ってなかったんです。
1杯のコーヒーで何時間も席にいるお客さんも多く、回転率はうどん屋やラーメン屋のように高くありません。
また、コーヒーを何杯も注文するお客さんは少ないので、客単価も上げにくいんです。
カフェだけでは経営を持続することは難しいと思ったので、紅茶とスコーンのネットショップを開設しようと思い立ちました。
──ネットショップでの販売をスタートさせるのは難しくありませんでしたか?
柴田──
実は、カフェを始める前はカメラ屋に勤めていました。
カメラ教室を開催するぐらいの経験はあったので、商品の撮り方についても知識はありましたし、機材も持っていたんです。
また、情報系の学校を卒業したので、プログラムを書くことには馴染みがありました。
アフィリエイトサイトを作成したこともあったので、インターネットでものを販売することに抵抗はなかったんです。
商品の写真も撮れるし、ウェブページも作れるということで、2008年10月に紅茶とスコーンの販売をネットショップで始めました。
紅茶とスコーンのネットショップ
──ネットショップの売れ行きはどうでしたか?
柴田──
ネットショップを始めてから、ものすごく忙しくなりました。
自分たちの生産能力の限界は1日約400個。
それにもかかわらず、数千個の注文が入ってきたんです。
3か月先まで注文が埋まってしまうようなこともありました。
カフェで提供するお菓子も翌朝までに仕込まなくてはいけないので、朝から晩まで慌ただしく過ごしていたことが記憶に残っています。
──カフェのようすはどのようなものでしたか?
カフェも大繁盛していました。
特にカフェの近くにある倉敷市民会館でコンサートがあるときは大変でしたね。
飲食店のような足を休める場所が少ないためか、ものすごい勢いでお客さんがきました。
お店にあるケーキなどの商品は、一つも残らずに完売。
ネットショップも、カフェも繁盛して、慌ただしい生活が2年ぐらい続きました。
──ネットショップに専念したのは、なぜでしょうか?
柴田──
カフェは賑わっていたとはいえ、体が壊れそうなぐらいハードな日々が続いていました。
そのため、カフェを閉店することにしたのですが、これまで通ってくれたお客さんのなかには紅茶とスコーンを買えなくなることで、悲しむ人もいます。
いつでもお客さんが紅茶とスコーンを購入できるように、ネットショップは続けました。
そこで、倉敷市稲荷町の建物を借りて、小さな工場としてスコーンの製造を始めたのです。
キッチンカーが誕生した理由
──キッチンカーを始めた理由は?
柴田──
キッチンカーは、走る広告塔です。
マルシェイベントでも、お客さんの目に留まるように鮮やかな装飾にしています。
また、キッチンカーの装飾のなかにQRコードを描きました。
マルシェイベントでは、露店の近くに足を運ぶと何か買わなくてはいけないと思い、申し訳ない気持ちになる人も多いようです。
そこで、遠くからでも何を販売しているお店かを調べられるようにQRコードを付けました。
──キッチンカーで販売しているものは、どのようなものがありますか?
柴田──
キッチンカーでは、約30種類のスコーンを販売しています。
店舗に並べられたたくさんのスコーンは、見るだけでも印象に残りますし、選ぶ楽しさもあります。
突き抜けるぐらい多くのスコーンを用意することで、スコーン専門店という独創性を作りました。
また、紅茶を味わうためのティースタンドとしても営業しています。
「紅茶ってこんな飲み方があったんだね」という体験をしてもらえるように、紅茶のいろいろな飲み方を提供しているんです。
紅茶の繊細な香りや味わいを好きになってくれる人を増やしたいと思っています。
水島に拠点を移した背景
──水島に拠点を移した理由は?
柴田──
私の実家は水島の近くの連島町だったこともあり、水島が栄えていたころのようすを知っています。
今は寂しい状態になっていますが、水島には鉄道が通っていますし、倉敷市役所の支所や病院などの公共機関もあり、とても便利な街です。
利便性が高いにもかかわらず、物件の販売価格が下がっていて、値段以上の価値があると感じています。
「今はさびれた雰囲気はあるけど、数十年をかけて、自分の力で水島の街を良くしていけばいい」という気持ちで、移り住みました。
──水島でどのような活動をしたのでしょうか?
柴田──
水島に移り住んですぐに、水島で街づくりをしているミズシマ盛りあげ隊や水島家守舎Nadiaに参加しました。
ミズシマ盛り上げ隊では、事務イスに座って競走するいす1グランプリや、婚活パーティーのみずこんを開催しています。
水島家守舎Nadiaでは、空き家の活用方法について考える水島サルベージ会議を開催しました。
臨鉄ガーデンにも、第1回から出店。
最初の出店者は3店舗のみでしたが、今では2000人以上が集まる大規模なマルシェイベントにまで成長しました。
──今後、水島の街をどのように変えていきたいですか?
柴田──
水島に住む子どもたちが大きくなったときに、「水島を良くしたい」と思って帰ってきたくなるような街にしたいですね。
だから、子どもたちの心に残るイベントをたくさん企画したいと考えています。
また、街の思い出の場所も増やしていきたいです。
立地もよいし、物件も割安な値段で売られているので、うまく活用してもらって、新しいお店が増えていくことを期待しています。
アイデア次第で、どんな挑戦でもできる街なので、若い世代の人たちと一緒に水島を盛り上げていきたいです。
T’s CLOVERの紅茶とスコーンを味わって
スコーンというお菓子に馴染みがない人も多いと思います。
柴田さんに話を聞くと、スコーンの販売を始めたころは「スコーンってどんなもの?」と質問されることが多かったそうです。
馴染みがないものを逆手にとって、専門店として何十種類ものスコーンを提供するのは、独創性を生み出す見事なアイデアだと感じました。
また、今ではインターネットでの物販は当たり前になりましたが、T’s CLOVERのネットショップが開設された2008年は、誰もが利用するものではなかったと思います。
インターネット物販の黎明(れいめい)期に、いち早く目をつけて、紅茶とスコーンの専門店として売り出したというのは、柴田さんが世の中の流れを読んでいたように思えてなりません。
筆者は、水島にあるサロンでかわいらしいティーソーダと濃厚な甘さのあんバタースコーンを味わいながら、その裏側にある先見の明を感じていました。
今は寂しい風景が多い水島の街ですが、柴田さんの目には魅力的に見えています。
今後の水島の成長にも目が離せなくなりました。