国交省、鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティ刷新の提言発表

国土交通省は7月25日、鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会の提言を発表した。

今回の提言は、2022年7月25日に開催された「第5回鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」にてとりまとめられたものだ。同検討会は、人口減少社会の中で、デジタル田園都市国家構想の実現にも資する、将来に向けた利便性と持続可能性の高い地域モビリティへの再構築に向けて活動している。そして、鉄道事業者と沿線地域が、危機認識を共有し、相互に協力・協働しながら、輸送サービスの刷新に取り組むことを可能とする政策のあり方等について、自由に議論を行い、検討する。

今回の提言では、線区の分類、協議入りの基準に係る基本的な考え方についても言及している。基幹的な鉄道ネットワークを形成する線区(特急列車、貨物列車等が走行)については、引き続きJR各社による維持を強く期待するとしている。さらに、沿線自治体、およびJRが協力して、協議会の開催等により線区の活性化に取り組むと提言した。

さらに、危機的な状況のローカル線区については、基本原則として沿線自治体(特に都道府県)が中心となり、法定協議会等を設けると提言した。そして、利用者や地域戦略の視点に立ち、将来に向けた地域モビリティのあり方について関係者と検討を進めていくと提言している。

ただし、「基本原則」がうまく機能しない地域(線区)においては、特定の2つの要件を満たす線区については、鉄道事業者、または自治体の要請を受け、国が特定線区再構築協議会(仮称)を設置し、廃止、存続という前提を置かずに協議すると提言している。

1つ目の要件は、利用者の著しい減少等を背景に、利便性、および持続可能性が損なわれており、対策を講じることが必要と認められることだ。この場合、JR各社のローカル線区については、輸送密度が1000人未満、かつピーク時の1時間当たり輸送人員500人未満を一つの目安としつつ、より厳しい状況にある線区から優先順位を付けながら総合的に判断すると提言している。

2つ目の要件は、複数の経済圏・生活圏に跨る等の事情から、関係者の合意形成にあたって広域的な調整が必要と認められることだ。この場合、関係自治体、および鉄道事業者の意見を聞いて総合的に判断すると提言している。なお、同提言の詳細は、以下で公開されている。

https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001492230.pdf

(出典:国土交通省 Webサイトより)

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