自民、安倍氏追悼演説先送りへ 甘利氏登壇への反発相次ぎ

甘利明氏(資料写真)

 自民党は28日、8月の臨時国会で予定していた安倍晋三元首相の追悼演説を秋の臨時国会へ先送りする方向で調整を始めた。元首相の国葬実施や演説者に同じ党の甘利明前幹事長(衆院比例南関東)を検討していることへ反発や異論が相次いでいることに配慮した。

 政府は8月3日から3日間の会期で参院正副議長を選出し、銃撃されて亡くなった安倍氏の追悼演説を同5日に行う旨を提案。野党は安倍氏を国葬とする法的根拠などについて説明を迫っている。

 国葬については、両院議院運営委員会で松野博一官房長官が質疑応答を受けるなどの案を検討しているが、松野長官が新型コロナウイルスに罹患(りかん)したことで職務復帰が早くとも週明けとされるなど、見通しが立たない状況だ。

 甘利氏の登壇を巡っては、野党側に安倍氏と懇意の議員が少ないことや遺族の意向もあって浮上した。内閣府特命相などを務め菅義偉前首相、麻生太郎前財務相とともに安倍政権を支えた背景から自民は押し切る構えだったが「野党の代表が演説し国会の総意として故人をしのぶ慣例に反する」として、立憲民主党などから反発が強まっていた。

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