【追う!マイ・カナガワ】善意の花消えた横浜の沿道 地元の男性や高校生植栽に名乗り 地域コミュニティー復活へ

植栽への思いを語り、高校生たちに植物についてレクチャーする脇谷哲夫さん(左端)

 地域の笑顔をまた咲かせたい-。4日に「追う! マイ・カナガワ」が報じた横浜市金沢区の沿道スペースの花が消え、荒れている問題で、近所の脇谷哲夫さん(94)が20年以上続けていた植栽を「引き継ぎたい」という男性が現れた。その呼びかけに高校生らも応じそうだと聞き、記者は県立横浜氷取沢高校(同市磯子区)へと向かった。

 花咲く沿道の復活に名乗りを上げたのは、近くで働く理容師の鈴木誠一さん(45)だ。以前から沿道が荒れていることを気にかけていたが、マイカナの報道も後押しとなり「植栽を通じ、脇谷さんを含めた地域の絆をもう一度育みたい」と立ち上がった。

 鈴木さんから話を持ちかけられた同校ボランティア部顧問の古屋唯生教諭(40)も「地域コミュニティー復活の起爆剤になりたい」と賛同したという。記者はこの問題の経緯を約50人の生徒たちに説明する機会をいただき、「私も実際に現場で協力したい。一緒に地域をより魅力的にしよう」と呼びかけた。

 古屋教諭によると、県内でも同校ほど活発なボランティア部はまれのようだ。マイカナの記事を読み、「脇谷さんに話を聞いてみたい」と部員たち。20日には11人が脇谷さん宅へ向かい、新型コロナウイルス禍でもあり、10分ほど自宅近くで言葉を交わした。

 脇谷さんは「昔は人々が支え合って生きていた。皆さんも地域貢献を忘れないで」と、植物や植栽の道具について熱心にレクチャーした。11人は沿道も訪れ、齋田日葵さん(15)は「脇谷さんの花への気持ちが伝わってきた」、黒澤優香さん(15)は「広い! ここに花を咲かせてみたい」と目を輝かせた。

 生徒たちは脇谷さんから鎌やシャベルなど5点を譲り受け、道路の美化や清掃をするハマロード・サポーターに登録して市とも連携する予定。金沢土木事務所は「人々が長年楽しんでいた場所。また魅力的になってほしい」と期待した。

◆善意の花々 市が撤去?
 地域の人々が長年楽しんでいた横浜市金沢区堀口の沿道スペースの植栽が荒れ果てて、「撤去します」と市が勧告書を張り出している─という読者からの投稿をマイカナ取材班が調査。地元の脇谷哲夫さん(94)が20年以上にわたり一人で手入れをしていたが、高齢を理由に昨秋で引退を申し出ていたことが分かり、4日の記事でその経緯を伝えた。

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