海は広いな大きいな、時にこわいな危ないな~…事故増える海水浴シーズン、海上保安官だからこそ言える海遊びポイント【敦賀海保日誌】

遊泳者保護区域の中には遊泳客とともにSUPの姿が(2022年7月・福井県美浜町)

青い空!白い雲!照り付ける太陽に輝く水面!!2022年もようやく本格的な夏を迎えました!夏と言えば、やはり海!夏休みに海水浴を計画されている人も多いのではないでしょうか?ところが悲しいかな、みんなが海で遊ぶこのシーズンこそ海上保安官にとっての最繁忙期・・・。なぜなら、海で起こる事件や事故が相次いで、その対応に追われるからです。

特に天気の良い土日祝日は、外に遊びに出掛ける人が多いので、その分『今に通報が入るのでは?』と、海保の事務所内は若干ピリつきます。ここ2、3年ほどの間、コロナの影響で開設を見合わせていた海水浴場も、行動制限が緩和された今年の夏は続々と開設を決定。海開きとなり、久々に賑やかな福井の海が戻ってきたようで、嬉しいような、少しこわいような・・・。ほんとに何事もないことを祈るばかり。ですが、実際に福井県沿岸の海では、毎年のように海水浴中に命を落とされる痛ましい事故が発生しているんです。

海で起こる事故のほとんどは、本当にちょっとした不注意から生まれるもの。ということは、ごくごく簡単なことにさえ気を付けていれば、安全に海を楽しんで最高の夏の思い出を作れることでしょう!

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ということで、みなさんが今年の夏も海を目いっぱい楽しんでいただけるよう、今回は題して「数多くの海の事故を見てきた海上保安官だからこそ言える!!実録!これだけは守ってほしい!海遊びスリーポイントアドバイス!!!~海は広いな大きいな、時にこわいな危ないな~」

・・・のコーナーーー!!!

題名なっがw

内容はコンパクトにまとめるので是非読んで!!

◎ポイント1

「ぜったいに。絶対に子供から目を離さないで!」

波の力の強さというのは見掛け以上に強いもの。

大人でも30cmの水深があれば溺れると言われていますが、体の小さな子供は同じ深さでもその身に受ける波の影響は比べものになりません。

海中で体勢を保てずに海水を飲んでしまいパニックになり溺れてしまうという事故や浮き輪に乗ったまま沖合に流されてしまうという事故がとても多く起こっていて、どれにも共通するのは“親が目を離した隙に”ということ。

「子供は静かに溺れる」といいます。子供は溺れても呼吸をするのに精一杯になって、叫んだりバタついたりすることができないそうです。お子さんからは常に目を離さず一緒に行動してください。

◎ポイント2

「飲んだら泳ぐな!泳ぐなら飲むな!」

これは、お酒のことです。海水浴はみなさんが思っている以上に体の水分や体力を奪ってしまいます。ゆえに酒がしみる!!いつも以上に酔っぱらってしまうんです。

それに海の中では、たとえほろ酔いぐらいでも、平衡感覚が低下したことの影響がもろにあらわれます。たとえ泳ぎが上手な人でも、自分では酔ってないと思っている人でも、お酒が入った状態で泳いで溺れてしまうケースは多々あり、過信は禁物!

ひと夏の勢いで一生をムダにしてしまわないように。

◎ポイント3

「気を付けて!潮の流れと風の向き!」

海に遊びに行くとき、みなさんは必ず天気予報を確認すると思いますが、晴れの予報だからと言って海水浴日和とは限りません。

特に確認しておいてほしいのは、風の強さと向き。浮き輪や上に乗るタイプの浮き具、ボードなど、水に浮かぶものは風や潮の流れの影響を強く受けて、予想以上に速いスピードで流されます。風が浜から沖合に向かって吹くときは、岸に戻れなくなることがよくあるので要注意!

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また、一見波が穏やかで安心な遊泳場所に思えるところでも「離岸流」と呼ばれる沖に向かう強い潮の流れに注意を払わなければなりません。風の吹く方向や潮の流れは、1日のうちにコロコロと変化します。状況をよく見て少しでも不安があれば一旦海から上がりましょう。

もっと細かいことを言い出せば切りがありませんが、海で安全に遊ぶためのポイントは誰でもできる簡単なことばかり。なにも難しいことはありません。要は慎重に遊ぶことが大事なんです。ん?「慎重に遊ぶ」って、なんか変な日本語になってます?

ところで、昨年あたりから福井県の海水浴場では、よくSUP(サップ)を見掛けるようになりました。SUPとは、水に浮かべたボードの上に立って長いオールで漕いで進む遊具のこと。福井県では条例で海水浴場に遊泳者保護区域が設定されていて船舶の侵入を規制しています。SUPはこの条例で定めている船舶には当たらないようなのですが、保護区域の中で遊泳者と一緒にSUPも活動してる状況って・・・

サップボード流された…車の鍵を乗せたままリーシュコード外し海に入った間に波に

もし不安定なボードの上から落ちた人が泳いでいる人とぶつかったら?

もしボードの裏に付いている鋭いフィンが人の肌に当たったら?

果たして安全な海水浴場だと言えるでしょうか。みなさんはどう思いますか??

海水浴場にはいろんな人たちが遊んでいます。

⇒釣り、マリンスポーツ中の思わぬ事故、連載「敦賀海保日誌」を読む

家族連れからパーティーピーポー的な人たちまで。いや、パーティーピーポー的な家族連れもいるのか・・・。

何にせよ、みんなが“慎重に遊ぶ”を心掛ければ、きっといい夏になるはず!

それができなければ、救急車でピーポーピーポー的なことになりかねませんよ。

・・・はい、失礼しました。(敦賀海上保安部・うみまる)

 

 

 

 

 

 

 

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