被爆者の人生を支えたものとは ヒロシマ講座、下野新聞記者も参加

広島市の被爆の実態などを学ぶ「ヒロシマ講座」で講演する大澤さん=28日午後、広島市中区

 8月6日の「広島原爆の日」に向け、広島市の被爆の実態や世界恒久平和の実現への取り組みを学ぶ国内ジャーナリスト研修「ヒロシマ講座」が28日、同市中区の広島国際会議場で始まった。本年度の一連の講座には本紙はじめ各地の地方紙記者ら10人が参加する。

 初日は精神科医で被爆2世の大澤多美子(おおさわたみこ)さん(73)が「被爆者の人生を支えたもの」と題し講演した。

 臨床心理士でもある大澤さんは悲惨な被爆体験の調査研究が多数ある一方、被爆者が何を人生の支えとして生きてきたかという視点の研究が少ない点に着目。広島の心理士と6人で2008年、研究に着手した。

 被爆時、主に思春期に当たる8~19歳だった広島の被爆者ら約400人を含む500人超に聞き取りを実施した。18年まで10年に及ぶ調査の成果として、「被爆者は人生のさまざまな局面を乗り越えるために、多様な支えや考え方を必要としている」と強調した。

 また、聞き取り後に「体験や思いを話せて良かった」という被爆者が多かったとして「心から話を聞く」支援の形にも言及。「研究が災害の被災者や犯罪被害者らへの理解や支援にも役立てられたら」と語った。

 講演のほか、同市職員らが被爆者支援の現状や核兵器を巡る国際社会の情勢を説明した。講座は同市が02年度から実施。平和記念式典の翌日の7日まで続く。

広島市の被爆の実態や平和への取り組みを学ぶ「ヒロシマ講座」=28日午後、広島市中区

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