祖谷のおもてなし 古民家やど-紺屋- パート1 秘境に眠っていた宝に泊まる

四国のまんなか、秘境のまち三好市。その中でもさらに奥に入った祖谷の久保集落には、家族であたたかいおもてなしをしてくれると評判の古民家宿がある。茅葺きの建物に泊まり、目の前の畑からは採れたての野菜、そして囲炉裏を囲む。そんな贅沢な体験のできる古民家やど-紺屋(こうや)-を紹介する。

四国秘境奥祖谷 築100年を超える古民家宿に泊まる

本当の祖谷を体験できるという、古民家宿を訪ねて、奥祖谷の久保集落を訪れた。日本一険しいとも言われる国道439号線から、さらに集落の上へと向かう細い道へ入る。曲がりくねった道を上り、時々現れる家々や畑を通り過ぎる。この集落は、隠れ里といった風情。「紺屋」の看板を目印に、ようやく目的の宿へ到着した。

建物は伝統的なつくりで、その大きな縁側からは、広がる夏の空と谷向かいの集落を眺める。この日は日差しが強く、大分暑かったが、古民家の中に入ると少しひんやりとする。

虫の音や鳥のさえずりも聞こえてきて、まるで昔のなつかしい夏休みそのものにタイムスリップしたような気持ちだ。

若夫婦を秘境に呼び戻した祖谷の古民家

この宿は、中山伸介さん、真理さんご夫婦が切り盛りしている。ご夫婦は徳島県内で他の仕事をされていたが、数年前に祖谷に戻り、この宿を始めた。

この古民家は、真理さんのお父さんが生まれ育った家だ。しかし、真理さんご夫婦が戻る前は、しばらくは空き家で、ご家族でこの建物の手入れを続けていた。

ひっそりと山の集落で眠っていた宝 若夫婦の手で古民家空き家に息を吹き込む

そんなある日、真理さんのお母さん、久美子さんが戸を開け放ち、建物に風を入れていた時のことだ。

ふと気になり、そっと絨毯をめくってみると、なんと下には、幅の広い、現代の家では見る事のない立派な床があった。続いて、天井の板も、ほうきの柄でそっと動かしてみると、そこから見えたのは、いろりからの煤で美しい漆黒になった大きな梁と、丁寧に作られている茅葺き屋根の内側だった。

そこには昔そのままの古民家の姿が隠れていた。まるで宝物を見つけた気持だったと、久美子さんは語る。

さっそく、久美子さんは娘さん夫婦に報告。いつか、定年でもしたら宿でもしたいね、と話していた若夫婦は、その話を聞いて、急遽、時期を随分と早めて祖谷に来ることになった。

祖谷地方の伝統的な茅葺き屋根の古民家として国の登録有形文化財に指定

そして、この古民家からは、後から追加された天井や内装がとり除かれ、茅葺き屋根の保護のためには外側を金属板で覆ったりと、大掛かりな、元に戻して保存する修理が行われた。

また、若夫婦の、特に建築に詳しい旦那さんの伸介さんの意向もあちらこちらに取り入れられ、隠居(離れの建物)に保存されていた美しい木枠など、祖谷の骨董もおしげなく内装に使用されている。

こうして、「紺屋」は、住む人のいない建物から、世界中の人々が訪れる美しい古民家宿へと変貌を遂げた。

また、一家に愛される古民家は、2019年春、国の登録有形文化財にも指定された。

パート2では、宿の囲炉裏を囲んでいただく、祖谷の郷土食を紹介する。

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>>祖谷のおもてなし 古民家やど-紺屋- パート2 囲炉裏でいただく贅沢な山の伝統料理

古民家やど-紺屋-


徳島県三好市東祖谷久保311

(取材・文・写真: ショーン ラムジー)

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