日本のハイテク株にも影響を及ぼす「GAFAM」の決算発表まとめ

2022年7月25日週は、IT企業の雄である「GAFAM」の決算が発表となりました。

私たちの生活やビジネスで必要不可欠となっている製品やサービスを数多く開発している巨大 IT企業の5社をGoogle、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの頭文字を取ってGAFAMといいます。米国株の上昇を支えてきたGAFAMの決算は、投資家マインドを左右し、日本のハイテク株にも影響を及ぼすと考えられます。

今回は改めてGAFAMの企業としての優位性と、今週発表された決算について、まとめてお伝えします。まず7月26日(火)に発表された、MicrosoftとGoogleについてです。


マイクロソフト【MSFT】

1975年にビル・ゲイツ氏によって創業されました。1986年にNASDAQに上場、ワードやエクセルなどの「Microsoft Office」シリーズやコンピューター用OSの「Windows」、家庭用ゲーム機「Xbox」などで知名度が高い、ソフトウェアの老舗かつ巨大なIT系企業です。

近年、クラウドサービス「Azure」やデバイス・プラットフォームなどクラウド事業も展開、注力しています。消費者向けのみならず、B to Bでの寡占化に強みがあり、堅調な成長が見込まれます。

7月26日(火)に発表した2022年4-6月期決算では、市場予想に届きませんでした。

売上高が518億6,500万ドルと12%増となり、純利益は1%増の167億4,000万ドルでした。主力の企業向けのクラウドサービスは堅調だったものの、ドル高が収益を押し下げたほか、オンライン事業への広告に対する需要減少などが背景にあるようです。またAzureの増収率は40%に鈍化し、市場予想を下回りました。ただ業績見通しは好感された模様です。

アルファベット【GOOG】

世界最大の検索サービス「Google」を運営している企業です。1998年にラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏によって設立された企業で、Googleの由来は、10の100乗を表すgoogol(ゴーゴル)とのことです。インターネット上の膨大な情報を組織化するという想いが込められています。

Google以外にも様々なサービスを提供しており、スマートフォン用のOS「Android」や世界最大の地図サービス「Google マップ」、世界最大の動画共有サービス「YouTube」、世界最大のメールサービス「Gmail」、Android端末向けのコンテンツ配信サービス「Google Play」、Webブラウザ 「Google Chrome」など、世界最大のサービスを多数持っていることが強みです。自動運転開発で世界をリードしているといわれる「Waymo」などの成長にも注目したいところです。

7月26日(火)発表の2022年4-6月期決算では、売上高が前年同期比13%増の696億8,500万ドル、純利益が同14%減の160億200万ドルと、増収減益となりました。コロナ禍が業績をけん引していた動画共有サイトYouTubeの広告売上高が、5%増の73億4,000万ドルと、伸び率が過去最低を記録するなど、広告収入の伸びが鈍化していることがわかる決算となりました。

ただ2銘柄ともにアフター決算では上昇。写真・動画共有アプリを展開するスナップ【SNAP】など競合の決算が振るわなかったこともあり、売られていたのが買い戻された形のようです。

メタ・プラットフォームズ【META】

メタは旧Facebookですが、2004年に創業された企業で「Instagram」や「Facebook」、「WhatsApp」などを運営するデジタル・ソーシャルメディア大手です。

Facebookは米国のみならず新興国も含む世界中で使われているのも大きな特徴で、売上高の内訳はFacebook内の広告がほぼ占めています。メタバース事業を柱にするべく、社名をメタ・プラットフォームズに変更したことでも話題となりました。

7月27日(水)はMETAの決算発表でしたが、社名変更から4四半期連続で決算ミス=事前の期待値を下回る結果となっています。

第2四半期決算は、売上高は前年同期比1%減の288億2,200万ドル、純利益は36%減の66億8,700万ドルと株式公開以来初の減収となりました。主力の広告事業の軟調が重石となっており、第3四半期の予想でも広告需要の低迷が続く見通しです。

推進するメタバースのFRL(Facebook Reality Labs)部門は28億1,000万ドルの損失となっておりますが、今後数年間、長期的な成長のために同部門への支出を続けていく意向を示しています。Facebookの月間利用者も減少し、市場予想も下回っていて、2022年に入ってメタの株価は下落が続いています。

7月28日(木)に決算発表の2社についてもお伝えします。

アップル【APPL】

お使いの方も多いスマートフォンの「iPhone」や、タブレット型情報端末の「iPad」、パーソナルコンピュータの「Mac」、携帯音楽プレーヤーの「iPod」、ウェアラブル端末の「Apple Watch」などの開発と販売をする会社で、リピーターも多い圧倒的なブランド力と、製品開発力や技術力が強みとなっています。iTunes Storeとソフトウェアの売上高やApple CareやApple Payのライセンス料金も伸長しており、自社株買いにも積極的な企業です。

2022年度第3四半期決算の売上高は829億ドルと第3四半期としては過去最高の売上となりました。純利益は194億ドル、希薄化後の1株当たり利益は1.20ドル。iPhoneやiPadの売上が予想より好調だったほか、アクティブデバイスのインストールベースは、すべての地域と製品カテゴリで過去最高となったことが寄与した模様です。

アマゾン・ドット・コム【AMZN】

1995年に書籍販売サイトとして誕生した企業で、eコマースにおける世界的なリーディングカンパニーです。物流など自社ですべてまかなうことができること、「Amazon プライム」というストック型ビジネスを持つことを強みとしており、利益のほとんどを将来の投資に回すことでも有名な企業となっています。収集する膨大なデータもアマゾンの財産といえるでしょう。

決算では売上高が前年同期比7%増の1212億3400万ドルと市場予想を上回りました。AWS(Amazon Web Service)のクラウド事業が好調 だったのと、7月の有料会員向けセールであるプライムデーは販売数量が過去最多となったことなどが寄与しました。

一方で最終損益は20億2,800万ドルの赤字となりました。こちらはEVメーカーのリヴィアン(Rivian)への出資の株式評価損の計上を背景に2四半期連続で最終赤字となりました。明暗を併せ持つ決算といえそうです。

7月25日週「相場の値動き」おさらい

7月26日(火)、27日(木)のFOMCでは予想通り0.75%の利上げが決定されました。インフレ抑制に向けて積極的な姿勢は変わらず、今後も利上げを継続する見通しとなったものの、パウエルFRB議長の記者会見では、労働市場の力強さが景気を支えており、景気後退に陥っていないという認識であることが示されたほか、いずれは利上げペースを落とすことになり、政策は会合ごとに設定されるとのことで、金融引き締めのペースが落とされていくという見通しが好感された模様です。

米商務省が7月28日(木)に発表した2022年4-6月期の実質GDP速報値は、住宅投資などの落ち込みから前期比年率換算0.9%減 と、2四半期連続のマイナス成長となりました。2四半期連続のマイナス成長は、テクニカルリセッションといわれ、景気後退と判断される可能性が出てきています。

週末7月29日(金)の日経平均株価は、前日比13円84銭安の2万7801円64銭と小反落。7月22日(金)の日経平均は、前日比111円66銭高の2万7,914円66銭でしたので、週間では113円02銭の下落となりました。


今週は為替市場が大きく動きましたね。先週まで円安進行が続き、21日に138円88銭の高値をつけましたが、135円を割り込んでからは早かったですね……。

7月29日(金)の16時40分現在では一時、1ドル=132円台と6円ほど円高方向に動いています。米長期金利下落やGDPの結果が悪かったことなどが考えられますが、夏休みで値動きが荒くなりがちというのもあるかもしれません。

© 株式会社マネーフォワード