和レトロ柄や北欧コラボも…「秩父銘仙」厳選15柄「おしゃれ着として生涯着用も」 来月4日から振袖展

オール秩父のオリジナル振り袖を紹介する矢尾百貨店と新啓織物の関係者=25日、秩父市上町の矢尾百貨店

 埼玉県秩父市上町の矢尾百貨店3階催事場で8月4日から、「秩父銘仙 振袖展」が始まる。創業270年を誇る同店が「県を代表する絹織物で成人式に参加してほしい」との思いを込め、同展を初めて企画。銘仙織元「新啓織物」(同市中宮地町)や地元和裁士が織りから仕立てまでを手掛け、オール秩父のオリジナル振り袖計15点を完成させた。新啓織物社長の新井教央さん(54)は「振り袖展を通して、銘仙の魅力と歴史を若い人たちに知ってもらいたい」と来場を呼びかけている。

 秩父銘仙は大正から昭和初期に流行した着物。生地に裏表がなく、色柄が大胆で安価なため、庶民がおしゃれを楽しむきっかけにもなった。100年以上にわたり伝統技術が継承されていることが認められ、2013年に国の伝統的工芸品に指定された。

 子どもたちに銘仙文化を広めようと、新啓織物では毎年、地元小学生を対象に機織り見学会を開催しているが、新井さんは「10代後半の若者は銘仙に触れる機会が少なく、まだまだ浸透が薄い」と話す。

 同展では、レトロ感際立つ麻の葉や立涌(たてわく)柄、スウェーデンのデザイナーとコラボしたスワン柄など、若者向けに厳選した15柄を出品。会場には、銘仙ができるまでの工程説明資料や道具なども展示し、若者が地域の産業を身近に感じられる空間を演出した。

 新井さんは「普通の着物は式典でしか使えないが、秩父銘仙は普段着としても着用できる」と魅力を語る。振り袖として着用後は、おしゃれ着として生涯着用できるよう、同店では袖丈詰めや手入れサービスを無料で実施。販売と共に銘仙振り袖のレンタルもスタートさせる。

 同店の横山徹常務取締役(64)は「成人式や卒業式などの場で、地域の若者が銘仙振り袖に袖を通す新たな文化が芽生えるよう、今後も秩父の伝統工芸品の素晴らしさを広めていく」と話した。

 同展は8日まで。時間は午前10時~午後7時(最終日は午後4時閉場)。秩父銘仙「振袖フルセット」は税込み48万円、「振袖レンタル」は同22万円。

 問い合わせは矢尾百貨店(電話0494.24.8080)へ。

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