猛暑生かしてじっくりと 越生で梅の天日干し「本物の梅干し味わって」 来月中旬まで作業、10月下旬販売

梅の天日干し作業をする吉原保雄会長(右)と黒沢光治さん=29日、埼玉県越生町古池

 梅の産地として名高い埼玉県越生町で、昔ながらの梅干し作りに欠かせない天日干しが始まった。農家の軒先には梅の塩漬けが並べられ、真夏の太陽を浴び色付きつつある。

 JAいるま野越生支店の梅部会に所属する85軒の梅農家では、例年40~50トンを梅干しに加工する。収穫後1カ月ほど塩漬けした梅の実は天日で3~4日干すと余計な水分が抜けて皮や実が柔らかくなり、色も梅干し独特の渋みがあるピンクになるという。

 今年は20日ごろに始まり、ここ数日の猛暑で本格化。同町古池の黒沢農園では29日、町固有ブランド品種「べに梅」などの塩漬けを炎天下で裏返す作業に追われた。

 近年の市販品は、塩分を減らした「調味梅干し」や天日干しをしない「梅漬け」が主流という。同部会の吉原保雄会長(69)と同農園の黒沢光治さん(74)は「本物の梅干しを味わっていただきたい」と話した。天日干しは8月中旬まで行われ、10月下旬ごろから町内の直売所などで販売される。

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