矢掛「秘境」キャンプ施設に注目 町最北端の地、愛好者が話題に

キャンプ区画にテントを設置する長屋事務局長。キャンピングトレーラー(中央)などにも宿泊できる

 岡山県矢掛町上高末の羽無(はなし)地区にある地域振興施設「桃源郷はなしの里憩いの館」に整備されているキャンプ施設が注目を集めている。町最北端の秘境的な地にあることなどが愛好者の話題となり、新型コロナウイルス禍に伴うアウトドアブームもあって“穴場”として利用が増えている。

 地区は人口が50人を切り、高齢化率も70%近いという。はなしの里は地域活性化の拠点として2018年3月、町が整備した。当初からキャンプ区画はあったが、利用は月に1組あるかないかといった程度だった。

 最近になって注目された理由の一つが立地条件。県道をそれて車1台がやっと通れる細い道を1キロほど走ると突然、集落が現れる。秘境的な存在がキャンパーの話題となり、口コミで広がった。今は週末に予約が入るのはもちろん、10回以上利用した常連も複数組いるという。

 指定管理で施設を運営する住民団体「桃源郷はなしの里」が本格的に事業展開できるよう、町も後押ししている。条例を改正し、利用料などを細かく定めた。利用は1泊テント1張り千円に、1人100円(3歳以上)を加算。土、日曜はテントやバーベキューコンロ、寝具などの貸し出しがあり、予約すれば食材の用意もある。

 キャンピングトレーラーも設置され、さらに住民団体が昨年11月に旅館業法の許可を得たため、休憩用だった施設を宿泊施設(和室)として利用可能に。いずれも建物内のシャワー(有料)とトイレを使える。3千円の上乗せでキャンプ施設の貸し切りもできる。

 住民団体の長屋裕介事務局長は「キャンプファイアや、じか火利用の制限はなく、花火も打ち上げ式以外は自由。家族でたくさんの思い出を作って」と話す。問い合わせは長屋事務局長(080―6309―6558)。メール(hanasiland@gmail.com)でも受け付ける。

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